米国で話題騒然の魚雷バット、削ってみた日本の職人が分析「飛ぶだけの理由はある」 国内登場も時間の問題
米大リーグで大きな話題となっているのが、開幕カードで本塁打を量産したヤンキースが使用した“魚雷(トルピード)バット”だ。日本球界でもすでに興味を示した選手がおり、メーカーも動き始めている。このバットを、木材から手作業で削り出してみたデザイナーに、一体どのような利点があり、現在の日本のバットとは何が違うのかを聞いた。新たなトレンドとなる可能性はあるのだろうか――。

日本のバット職人が「魚雷バット」を削ってみると…
米大リーグで大きな話題となっているのが、開幕カードで本塁打を量産したヤンキースが使用した“魚雷(トルピード)バット”だ。日本球界でもすでに興味を示した選手がおり、メーカーも動き始めている。このバットを、木材から手作業で削り出してみたデザイナーに、一体どのような利点があり、現在の日本のバットとは何が違うのかを聞いた。新たなトレンドとなる可能性はあるのだろうか――。
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愛知県に工場を置く「HAKUSOH BAT JAPAN」の代表でバットデザイナーの松本啓悟さんは、好奇心を抑えきれなかった。魚雷バットが米国で話題になったのを見ると、業務の合間を縫って昼休みに削りだしてみた。「僕たちは削ってみるのが一番わかりやすいんです。どういうバランスなのか感じることができるので……」。誕生した国産の魚雷バットを触り、振ってみると、様々なことが見えてくる。「打球が飛ぶだけの理由はありますよ」と言うのだ。
魚雷バットが注目を集めたのは、ヤンキースがブルワーズに20-9と圧勝した3月29日(同3月30日)の試合からだ。初回先頭のゴールドシュミットからベリンジャー、ジャッジまで全員が初球を叩き三者連続本塁打。さらに1試合9本塁打という強打を見せた。
この試合でゴールドシュミットやボルピ、チザムJr.らが使っていたバットは、芯の部分だけが明らかに太く、先端に向かってまた細くなるという不思議な形状。魚雷(トルピード)に似ていることから、この名で呼ばれるようになった。規則で許される長さ、太さに収まっており使用に問題はなく、中継では「多くの木材をラベル部分に集め、最も硬い部分で打てるようにした」と紹介された。
プロが使う一般的なバットは長さ85センチ前後。松本さんは魚雷バットの設計思想を「その中で、振ったときにいちばん重りになるところを、ボールが当たる位置に直結させたかったのでしょう」と読み解く。通常のバットは先端に近いところが一番太く、ボールを打つ部分は少し細い。そこを逆転させる発想だ。