10代で大金を獲得する新人女子ゴルファー 優勝しても、忘れてはいけない「謙虚さ」
期待が高まる馬場咲希、大切なのは「自分を見失わない」
偉業を達成した馬場については、期待の一方で心配もあるという。
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「17歳で世界一になったことは、プラス面は計り知れませんが、アマチュアの大会では優勝を期待されますし、ツアーの試合でもそうなっています。大事なことは『自分を見失わない』です。いろんな声を耳にして動揺もするでしょうが、ご両親の管理とサポートのもとで環境の変化に対応し、冷静に自分を見ていく。それができれば、長身でスケールが大きく、高い技術もあるので、プロでもトップになっていくと思います」
こうした若手たちは「勢い」もあるが、北田は「それ以上に不安を抱えているもの」と話す。自身もプロ3年目でツアー初優勝を飾り、賞金ランク3位になったが、「不安しかなかった」と振り返る。
「シーズン中は常に競争の中にいますし、いつ調子を崩すか分からない。予選落ちをすれば、『このまま落ちていくのか』と思いにもなります。なので、練習は納得するまでやっていました。打撃練習場では、パターを除く13本のクラブを1本につき10球連続で納得したショットを打つ。それができないと練習を止めないと決め、試合中でも不安があると夜に、打ちっぱなしに行ったりしていました」
「練習熱心」と言えば稲見萌寧。ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで予選落ちした際は、翌日の日曜正午過ぎから練習を始め、「気付いたら(深夜)0時を過ぎていました」というエピソードを明かした。北田は「その気持ちは分かります」と言った。
「稲見さんは昨季の賞金女王ですし、23歳にして通算12勝もしていますが、トップに立った人でも不安なんです。1つの試合を終え、どう次の試合を迎えるのか。それを思うと、クラブを握っていたくなるのも分かります。私自身、『月曜は休もう』と思えたのはツアーに出始めて3年が経ってからですし、新人時代は『練習を休め』『試合も時には休め』と言われても難しいと思います。それに、そうした時期は必要で、先になって『頑張ったあの頃があって今がある。まだやれる』と思えるはずですから」
一方で、プロとして強くなれば大金が入る。周囲からもてはやされるが、北田は「謙虚さだけは忘れてはいけない」と訴えた。
「先日、宮里藍さんが『天狗になりそうな時期に(父親が)引き戻してくれた』とコメントされた記事を読みました。子どもが活躍すると、親の方が稼ぐ子に気を遣い始めるケースも見受けられますが、『人としてこれは違う』と思ったのなら、言うべきことがあるはずです。選手自身もゴルフをしていない時の態度、人間性についても、周りに見られていることを知っておくべきですから」
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)