ラグビーW杯で日本と同組 大野均が見た難敵イングランド、“エディー流”の共通点とは
マーチャントの献身的なプレーに共感
大野氏は、大会を通じてスミスに加えてもう1人のBK選手にも注目していた。
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「フランスとの最終戦でのCTB(センター)マーチャントは、インパクトを残した選手ですね。スピードもあるしディフェンスも堅実。対戦すると、地味に嫌な選手というタイプです。WTB(ウイング)もできるユーティリティーというのもいい」
代表12キャップ、25歳のジョー・マーチャントは、2019年W杯は目前でメンバー入りを逃し、今季から主力に浮上した若手の成長株だ。昨季の6か国対抗では途中出場1試合だったが、今季は4試合で先発して全5試合に出場している。フランス戦の前半28分には力強いランで相手防御を破り、反則を誘ってスミスのPGに結びつけると、後半7分には敵陣の右オープン攻撃から、今度はスピードで防御を抜き去りチームの初トライの起点になった。防御でも、キックオフ直後の相手のオープン攻撃でノックオンを誘うプレッシャーをかけるなど貢献。密集戦では常にラックに頭を突っ込んでボールを生かし、ラック周辺に立てば虎視眈々とジャッカルを狙うポジショニングを取るなど、高いチームプレーの意識を見せ続けた。
「ああいう(後半7分の)アタックで、一発で抜かれるのは相手チームとしても一番嫌なんですよ。ピンチの時にジャッカルを決めて、ゲームの流れをイングランドに持っていくプレーも何度もしていましたね」
スター選手が並ぶイングランドの中では、まだまだ地味な存在だが、現役時代は仕事人として不動の地位を築いた大野氏にとっては、FW、BKの違いがあっても、その献身的なプレーに共感するものを感じているのだろう。
もちろん、大野氏にとって“本職”のFWにも注視している。中でも今大会で印象に残ったのは、スクラムの強さ。最もインパクトを感じたのはアイルランド戦だった。
前半開始直後にLO(ロック)チャーリー・ユールズが危険なタックルで退場処分となり、FWは7人での戦いを強いられた。だが、イングランドはその直後のスクラムから相手に反則を連発させて善戦。「スクラムに自信を持つアイルランドが、あれだけ反則を取られた。レフェリーに悪い印象を与えてしまったこともあるのかもしれないが、1人少ないイングランドがあからさまに崩されたということはなかった」と舌を巻く。