フィギュアに付き物の「ジャンプの転倒」 冒頭で起きたら選手は“計算”に必死
フィギュアスケートは「計算ができないと勝っていけない」
演技構成を変えるという点では、先に滑った選手との得点差も関わってくる。
【注目】育成、その先へ 少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信する野球育成解決サイト『First-Pitch』はこちらから
「私が忘れもしないのは2008年にスウェーデンで行われた世界選手権。コーチの佐藤信夫先生は私の武器だったトリプルアクセルを跳ばなくても勝てると思われたのか、直前に『どっちで行くかは任せるよ』と言われ、困ったことがあります(笑)。なかには他の選手の演技や得点を見ている選手もいますが、私は控え室などで音楽を聞いて情報を遮断していました。そういう場合にコーチが勝ちに行く戦略を立てる場合があります」
演技をしながら、咄嗟に得点計算をしないといけないフィギュアスケート。「計算ができないと勝っていけないと思います。私は計算の要領が良くない方だったので、構成を考える時は自分で紙にジャンプと基礎点を書き出し、すべてのパターンを頭に叩き込んでいました」。北京五輪に出場している選手もそうした数字を頭に描きながら、戦っている。
「演技構成を変えるリスクは得点減以外にもあります。30メートル×60メートルのリンク全体をまんべんなく使うことも評価の一つで、ジャンプが同じ場所で繰り返された場合は審判員が見ています。また、規定された演技時間を1秒でもオーバーしたら減点に。転倒などで演技が遅れ、要素が入り切らないことがあります。点数だけではなく、あらゆる面の“計算”が生まれるのが、ジャンプの失敗です」
(THE ANSWER編集部)