松元克央は「自分で決めたら逃げない」 快挙見守った両親が明かす“カツオの成長物語”
両親の願いは謙虚な息子「今のままの克央でいてほしい」
競泳に打ち込む高校生の兄弟2人を育てる夏江さんは「食事が凄く大変だった。体がどんどん大きくなって」と懸命にサポートした。弁当に加えて、夕方用に大きめのおにぎりを5個追加。元々野菜を食べず、大会前は揚げ物を控える。その中で体力が落ちないよう量を摂らせるために工夫した。
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明大に進学後は寮生活。たまに帰省しても、苦労や弱音は持ち込まない。「寮に入って変わった。親のありがたみをわかってくれたのか、凄く優しくなりましたね」。寮からの連絡はあまりない。大会で活躍する姿をいつも楽しみにしている母が「おめでとう」とLINEを送っても「ありがとう」だけ。ちょっぴり素っ気ないが、感謝の気持ちを忘れたわけではなかった。
今春、大学を卒業し、4月に初任給で家族全員にプレゼント。しかし、4月末は豪州合宿で海外滞在の予定だったため、給料日前のなけなしのお金だった。父には「汚いのを使っているから」と小銭入れを、母には化粧品、兄には「いつも使ってないから」と時計を贈った。「今まで自分で働いたことがなかったので、自分で働いたお金でプレゼントしたかったようです」と母。リクエストは聞かずに自分で考え、こっそりと買い物に行ったという。
小4の文集には、オリンピックで活躍することを夢に描いた。東京五輪が1年前に迫って塗り替えた自由形の歴史。周囲の期待は膨らむが、両親は活躍を願いつつ、スタンドから見つめる先で輝く我が子を思った。
「人として逸れなければいい。何かをやって後ろ指を刺されるようなことにはならずに。自分の好きなように生きなよって。自分で決めたことなら応援する」と達也さん。夏江さんも「今のままの克央でいてほしい。謙虚な部分。オリンピックに出ても、今のままの克央でいてほしいな」と温かい視線を送っていた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)