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「こんなに頑張ってるのに…」 池江璃花子が抱えた心と体力の苦闘、全ては世界の8人に残るため

世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)は28日、競泳の女子50メートルバタフライ準決勝が行われ、池江璃花子(横浜ゴム)が25秒72の組2着、全体5番手で前回出場した2019年大会以来6年ぶりの個人種目決勝に進出した。大病を経てついにたどり着いた世界水泳の決勝。世界の8人に名を連ねるまでに体力と心の苦闘があった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

50mバタフライ準決勝、全体5着でフィニッシュした池江璃花子【写真:Getty Images】
50mバタフライ準決勝、全体5着でフィニッシュした池江璃花子【写真:Getty Images】

世界水泳福岡・競泳

 世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)は28日、競泳の女子50メートルバタフライ準決勝が行われ、池江璃花子(横浜ゴム)が25秒72の組2着、全体5番手で前回出場した2019年大会以来6年ぶりの個人種目決勝に進出した。大病を経てついにたどり着いた世界水泳の決勝。世界の8人に名を連ねるまでに体力と心の苦闘があった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)



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 生の歓声が胸に染みる。予選よりはるかに増した音量。「りかこー!」。池江は全身で受け止め、噛みしめた。「自分に注目してくれてるんだな」。嬉しさがこみ上げた一方、背筋を伸ばした。

「結果を残さないと」

 無観客の東京五輪にはなかった母国の声援。背中を押されながら飛び込んだ。水面から上がった際はやや後方。それでも懸命に腕を回し、ラスト25メートルで猛追した。一かきごとに差が縮まっていく。「最後の最後のタッチまで、隣の選手に負けないように」。2着で顔を上げた瞬間、悲鳴交じりの大歓声に包まれた。

「本当にこの日のために頑張ってきた。ここで決勝に残らないと、ずっと言ってきた世界に戻ってきたことを証明できないと思っていた」

 100メートルバタフライで6位だった2017年世界水泳以来、6年ぶりに個人種目で日本代表入り。当時以来の決勝進出を果たした。あと0.1秒遅ければ敗退。最後の一瞬が明暗を分けた。

「最後はタッチ差でかわすことができた。最後の最後までやり切るのはずっとやってきた。歓声が大きくて緊張しました。予選と同じで心地よかったです。楽しいけど、その中で勝負の気持ちを入れた。他の選手はメダルを目指していると思うけど、自分は決勝に残ること。ここで満足はしていないけど、国際大会の決勝を経験したかった。世界の舞台に戻ってきたことをかみしめながらレースができた」

 19年2月に白血病を公表。過酷な闘病を経て、約1年後にプールに戻ってきた。21年日本選手権は涙の4冠。東京五輪はリレー3種目に出場し、女子4×100メートルメドレーリレーで決勝進出に貢献した。しかし、昨年世界水泳は代表権を得られず。「メンタル状況は最悪」と心の不調にも悩んだ。

「もう無理かな」とチームメートにもネガティブな言葉を繰り返したが、今年の日本選手権は復活の4冠。それでもまだ、体力などフィジカル面は戻り切っていない。

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