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レース本番のブラジャーは毎回新品を着用 「乳首3つ分の差!」発言の裏にあった真剣な理由――陸上・福士加代子

生理の経験についても明るく語った福士さん【写真:荒川祐史】
生理の経験についても明るく語った福士さん【写真:荒川祐史】

月経痛に苦しむ先輩の姿を見たことで婦人科系の検査は定期的に受検

 初潮は中学2年生のとき。「中2、中3で生理が来なかったらやばい」というウワサを耳にしていたので、「あ、来た! セーフ!!」と思った。

「思春期の月経について覚えていることは、それだけです。実業団に入り、月経不順になっても、若い頃は不安どころか『今月は来なくてラッキー!』ぐらいにしか思っていなかったですね。

 思えば、レースが続いた時期や、骨折が多かった時期ほど、遅れたり、間が空いたりした気がします。『生理が来なくなったかもしれない』と感じたことも、1回ありましたね。それでも、3か月以上、来なかったことはなかったし、深く考えなかったと思います」

 とはいえ、これまで月経不順を放置していたわけではない。福士さんは、月経痛に苦しむ先輩の姿を見たことがきっかけで、婦人科系の検査は定期的に受けるようになった。

「出血多量で死ぬんじゃないかって思うほど経血量が多く、痛みも強い先輩がいて、生理休みも取っていました。その方から、(生理のとき)子宮がちょっと収縮すると聞き、へえー! っと思って。体は調べておくといいよ、と言われ、婦人科系の検査をするようになりました。

 検査の結果、医者から『月経不順でも、健康体だから大丈夫ですよ』と言われたので安心しました。それから、ちょっと不安に感じることがあっても、チームのスタッフや女性の栄養士さん、会社の健康保険組合の医療機関の方に相談できたり、見てもらったりもできた。そういった環境下で、競技を続けられたことも良かったと思います」

(後編に続く)

■福士 加代子 / Kayoko Fukushi

 1982年3月25日生まれ。青森県出身。五所川原工業高で陸上を始め、卒業後に入社したワコールで頭角を現す。2002年、5000メートルで日本人女子初の14分台をマーク。以後、3000メートル、5000メートル、ハーフマラソンの日本記録を塗り替える活躍で「トラックの女王」と呼ばれた2008年からマラソンに挑戦し、2013年世界選手権モスクワ大会では女子マラソンで銅メダルを獲得。五輪は2004年アテネ大会から4大会連続出場を果たした。2022年1月30日、大阪ハーフマラソンを最後に引退。現在、ワコール女子陸上競技部スパークエンジェルスのアドバイザーを務める。著書に「福士加代子」(いろは出版)。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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