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レース本番のブラジャーは毎回新品を着用 「乳首3つ分の差!」発言の裏にあった真剣な理由――陸上・福士加代子

福士さんはレースの本番に着けていたブラジャーは毎回新品だった【写真:Getty Images】
福士さんはレースの本番に着けていたブラジャーは毎回新品だった【写真:Getty Images】

レースの本番当日に着けていたブラジャーは毎回新品だったワケ

「例えばイベントでは『走るときのブラジャーやランニングタイツは何を使っていますか?』という質問をよく受けます。あ、みんなそういうことに興味があるんだなぁと、発見でした。

 私は体の動きを重視するので、競技中に身に着けるものは、結構、細かく考える。例えばブラジャー一つとっても、その日の練習内容やスピードによって使い分けていましたし、肌当たりの改善点があれば、都度、会社に要望を伝えていました。

 レース本番ではワンポイントでも赤い色が入っている下着を身に着けるのもこだわり。昔、『赤を身に着けると集中力が高まり、体が温かくなる』と言われて以来、私の勝負カラーは『赤』です。レースは冬に多いし、寒がりだし、何より赤い下着を身に着けると『行くぞ!』って気持ちになりますからね」

 ちなみに本番当日に着けていたブラジャーは、毎回、新品だったとか。理由は「一番、胸の形がよくなるから」。

「私たちの競技は最後、胸の差で勝負が決まる。だから、意外と胸の形って大事なんですよ。昔、0.03秒差で日本記録を出した(2002年釜山アジア大会5000メートル)こともありますしね。そのとき『乳首3つ分の差で勝ちました!』ってコメントしたら、ものすごく話題になりましたが(笑)、そんなんで、最もへたれていない状態のブラジャーを着けるのもこだわりでしたね」

 ウェアによる動きの違いを繊細に感じ取るだけに、生理中も出来るだけ動きが制限されない方法を模索した。

「生理用品はナプキン派。(経血が多い日用の)でっかいヤツはどうも邪魔くさいのですが、それでもランニングタイツで抑えれば大丈夫かな、という感じだったんで。逆にタンポンは違和感がぬぐえず、ちょっと嫌でしたね。

 私の場合、競技の妨げになるほどの痛みもなく、経血量も多くなかったので、その点はラッキーでした。たまにレース当日にバシッと当たることもありましたが、レース中は不思議と出血が止まったし、生理で大変な思いをしたことはないんです」

 実は、実業団チームで走り始めてからずっと、月経不順だった。引退した今、やっと月1のペースで生理が来るようになったという。

「だいたい来るのは1、2か月に1回、しかも来たり来なかったりが当たり前でした。2、3日で終わることもあり、1か月に2回、来ることもあった。後から考えると、おりものの量が変わるなどの予兆はありましたが、いつ来るか、本当に読めなかったので、遠征に行くときは常に準備をしていきましたね」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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