生理が止まり「私の体って大丈夫?」 競技に体も心も捧げる女性アスリートに伝えたいこと【鈴木明子×皆川夏穂】
「THE ANSWER」は3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性アスリートの今とこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「女性アスリートが自分らしく輝ける世界」をテーマに1日から8日までの1週間、8人のアスリートが登場し、8つの視点でスポーツ界の課題を掘り下げる。6日目は「女性アスリートと体重管理」。元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんと元新体操選手の皆川夏穂さんが登場する。
「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」6日目 テーマは「女性アスリートと体重管理」後編
「THE ANSWER」は3月8日の「国際女性デー」に合わせ、女性アスリートの今とこれからを考える「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「女性アスリートが自分らしく輝ける世界」をテーマに1日から8日までの1週間、8人のアスリートが登場し、8つの視点でスポーツ界の課題を掘り下げる。6日目は「女性アスリートと体重管理」。元フィギュアスケート選手の鈴木明子さんと元新体操選手の皆川夏穂さんが登場する。
女性アスリートにとって、無月経や疲労骨折などの健康障害を引き起こすリスクがある体重管理。ともに体重が競技力に関わるとされる審美系競技の出身で、現役時代は摂食障害を患ったこともある鈴木さんとロシア留学で厳格な指導を体験した皆川さんが対談した。後編では、現役時代に体重管理に悩んだ2人の実体験から、女性アスリートの“これから”に必要なこと、次世代への願いについて語り合った。(構成=長島 恭子)
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皆川「フィギュアスケートは体重の増減が、ジャンプや回転に影響するとおっしゃっていましたが、鈴木さんは選手時代、どのように体重を調整していましたか?」
鈴木「実は大学時代に摂食障害を患った後、体重計に乗ることをやめてしまったんです。以降は、動いたときの感覚や鏡に全身を映したときの見た目、気持ちが元気でいられるかどうかを基準にしています」
皆川「え……。現役時代からずっとですか?」
鈴木「はい、もうずっと。五輪に出場した間も体重は測っていません。でも、数字に囚われることをやめたら、逆に自己観察ができるようになりました。生理の日も記録して、自己観察日記をつけていくと、体重を測らなくても自分に対する傾向がわかってくるんです。水を飲めば体重は増えるけれど、きちんと体に水分が行きわたり、それで自分が元気ならいいじゃん! と考えるようになったら、すごく変われました」
皆川「確かに、『動きやすい状態=筋肉と脂肪のバランスがよい』ということ。そう考えると、自分の感覚を大事にしてコントロールすることは、結果、見た目にもつながってきますね」
鈴木「指導者も選手を体重や数字に当てはめるのではなく、その子に合わせた体でみてあげることがすごく大事だなと思います。体重ももちろん、目安としては大事だけれど、適正体重は選手によって異なるでしょう? 同じ45キロでもベストパフォーマンスを出せる人もいれば、パワーや体力が足りなくなったり、キレがなくなったりする」
皆川「鈴木さんのおっしゃること、すごくわかります。先ほど、ロシアでの生活についてお話をしましたが、ノルマの体重で競技を続けるうちに、自分が納得いくまで練習をしたくても体が動かなくなってしまいました。
このままでは理想としている演技ができない、目標も達成できないのでは、という危機感が生まれ、師事する先生に日本で学んだ栄養学についてや、『私はバランスよく食べた方がしっかり動ける』ということを、少しずつ伝えるようにしたんです。
ロシアはあまり栄養学を重視していなかったので、すごく時間はかかってしまったのですが、最終的には理解していただけて。『これからは見た目でいきましょう』となり、私も先生の前で体重を測ることをやめました。競技をやめるわずか2年前のことですが」