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未だ根強い「生理痛で練習休み=サボり」の風潮 女性アスリートの体は「一人一人異なると理解を」

イベントを終えた(左から)伊藤さん、鈴木さん、須永教授【写真:片岡祥】
イベントを終えた(左から)伊藤さん、鈴木さん、須永教授【写真:片岡祥】

生理とコンディション変化のチェックリスト

 イベントでは、須永教授から生理にまつわるチェックリストが紹介された。 

□月経が3か月以上止まっている □月経が8日以上続く □夜用ナプキンでも2時間もたない □レバー状の血の塊が出る □2日目でもナプキンにうっすらつく程度 □月経以外の時期に出欠がある □月経痛がひどくて薬を飲んでも効かない □月経前にコンディションに影響する症状がある

 現役時代、鈴木さんは「月経が3か月以上止まっている」、伊藤さんは「月経前にコンディションに影響する症状がある」に該当していたという。1つでも当てはまったら婦人科の受診を勧める須永教授は「自分の生理が正常か異常か判断し、異常なら自分で婦人科に行かなきゃと思える状態になってほしい」とも述べた。

 また、生理から起こるコンディション変化のチェックリストも紹介された。

【月経中】下腹部痛、腹痛、頭痛、吐き気
【月経前】乳房緊満感、むくみ、体重増加、食欲増加、腹痛、頭痛、抑うつ(落ち込む)、イライラ、集中力定価、倦怠感(だるい)、不安、怒りっぽい

 上記を対処する「Action」として以下の例も挙げた。

□病院に行く □市販薬を服用する □保健室に行く □練習メニューを調節する □休養をとる □食事をコントロールする □コーチに相談する □その他

 須永教授は「重要なのは『Action』の部分。婦人科以外にも(『Action』の項目で挙げた)自分ですべきことはあり、いろいろなアクションを起こすことが大事。月経周期でコンディションが変化するようであれば、この時期にどんな対処法をすればパフォーマンスが発揮できるのか、考えてもらいたい」と話した。

 さらに、伊藤さんは「女性アスリートに関わる大人が、選手が話をしてもいい存在になってもらい、自分だけでは判断できないことも『練習を休んでもいいから病院に行ってみなよ』など、安心させられる言葉を一言でもかけられると、選手も頑張りたい、もっと結果を残したいと思えると思う」と語った。

 質疑応答のコーナーでは、参加者からの質問に登壇者が回答した。生理中に良いタイムが出ず落ち込んでしまう競泳選手に、伊藤さんは「心理的に落ち込むのは悪いことではない。でも月経に関しては、自分なりの対処ができるといい。厳しいならコーチやトレーナーに少しでも話してみることができるようになるといい。悩んでいるのは一人じゃない。一人にならないでほしい」と思いやり、スケートリンクで体が冷えて生理痛が重くなるフィギュアスケート選手に、鈴木さんは自身の経験から腹巻きと貼るタイプのカイロを練習中に使うことを勧めた。

 イベントの最後には、月経にまつわる世間の認識が徐々に変化していることに触れた。2017年からスポーツ界の月経問題を発信してきた伊藤さんは「言葉としては(生理が)広がってきている。学生をとりまく環境でも(生理について)重要と言ってくださる指導者も増えている」と実感。一方で「スポーツ現場にいる方々が知識を持って関わる環境にしていければ。生理を入口に、女性アスリートの体や症状も一人一人異なると理解し、選手の皆さんも自分の体を追求してほしい」と願った。

 また、須永教授は「日体大では女性アスリートだけじゃなく、将来指導者になりたいと考えている男子学生ももっと学びたいとゼミを希望する学生が増えている。オリンピアンの皆さんが発信することで世の中も変わって来たのではないか」と時代の変化を分析。「今日紹介した月経のチェックも自分の健康状態を保つ大切な知識。ぜひ、チェックしてみて心配なことがあれば婦人科に行ってほしい。私個人も現場の役に立てる知見を発信していきたい」と研究者としての想いも語った。

 1時間にわたった第1部はこうして終了。第2部の「知っておくべき成長期のカラダと変化」は次回レポートする。

(THE ANSWER編集部)


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