女子ゴルフ界を「大きく前進」させた協会の一手 徐々に変わる「現役or引退して出産」の価値観
女子ゴルフの国内ツアーで大きな一歩が刻まれた。7日までの国内メジャー・ワールドレディスサロンパス杯(茨城GC西C)。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)と住友商事は、試合中に子どもを預かる託児所を共同開設した。これまでのツアーではスポット的に設置されることはあったが、今後は安定的に置かれる見込み。4歳の一人息子を持つ34歳の若林舞衣子(ヨネックス)は早速利用し、新たな取り組みの意義とママゴルファーとして戦う自身の役割などを教えてくれた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
日本女子プロゴルフ協会と住友商事、ツアー会場の託児所を共同開設
女子ゴルフの国内ツアーで大きな一歩が刻まれた。7日までの国内メジャー・ワールドレディスサロンパス杯(茨城GC西C)。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)と住友商事は、試合中に子どもを預かる託児所を共同開設した。これまでのツアーではスポット的に設置されることはあったが、今後は安定的に置かれる見込み。4歳の一人息子を持つ34歳の若林舞衣子(ヨネックス)は早速利用し、新たな取り組みの意義とママゴルファーとして戦う自身の役割などを教えてくれた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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火花散る戦いの最中にも、最愛の息子から直接エールをもらえる。そんな環境の整備が本格的に動き出した。
前週大会で会場に設置された託児所。ホテルからコースに通った若林は予選ラウンドの2日間、4歳の長男・龍之介君を預けた。初日は都内の自宅から若林の姉とともに来場した龍之介君。ママは「いってらっしゃい!」と見送られ、意気揚々とスタートした。
メジャーの難コースとの戦いに向かった一方、龍之介君はブロックやミニカーなどに大喜び。普段、家にはない「おままごとセット」やレジを使って遊ぶおもちゃに熱中した。預かってくれたのは、総合保育サービス「明日香」のスタッフ。食事の時間や量、トイレに行った時間まで報告してくれるという。“仕事”を終えた若林は長男のもとに戻ってきた。
「私も少し一緒に遊びました。『これとこれをください』とか言って、おままごとをしたり。金曜(第2日)は主人が会場に連れてきたんですけど、着いた瞬間に『保育園(託児所)に行きたい!』と言っていました(笑)」
利用時間は午前7時から午後5時半と制限がある。改善点はあるが、何事も初めからうまくいくはずがない。若林も「まずは設置することが一番」と喜び、「これから臨機応変に対応していっても遅くない」と理解している。それだけ、ゼロがイチになったのは大きい。
これが「大きな一歩」と言える理由は、託児所の設置が簡単ではなかったところにある。米国の女子ツアーが1993年から会場に託児所を設け、選手は子どもと各地を転戦できた。一方、日本ツアーでは極めて限定的。費用や各ゴルフ場でのスペース確保、利用者数の少なさなど難しさがあり、実現は大会スポンサーに大きく影響された。
日本社会でも、会社内の託児所設置や男性の育児休暇取得など制度化が進み、出産した女性の仕事復帰を「当たり前」にしようとしている時代。今回はツアーを統括するJLPGAが本腰を入れ、住友商事と共同開設するに至った。