企業女性リーダー400人の94%が元アスリート 女子選手の起業家育成支援にEYが関わるワケ
今後はメジャースポーツ出身の女性アスリートに「もっと参加を」
井本「具体的にはどんなテーマでセッションは行っているんですか?」
佐々木「最初のセッションはパーパス、存在意義についてでした。彼女たちは今まではアスリートとして、パーパスを実行してきた。そして今、自分自身を理解し、自分の持つスキルや、強みを理解し、新しいパーパスを創造しています。
2回目は仲間から学ぶ、ピア・トゥ・ピアのセッション。参加したアスリートたちは皆、素晴らしいスキルやアイデアを持ち、それぞれの課題も持っているので、それらをシェアし、お互いから学ぶことによって、刺激し合ったり、一緒に解決方法を探ったりしてもらいました。このときのファシリテーターは、元サッカー日本代表の東明有美さんにお願いしました。
アカデミーのセッションは6月に終了しました。改めて振り返ると、ビジネスの世界で新しい目標を達成するために、自信を持って去っていくアスリートたちの姿を見て、とても充実した気持ちになりました。また、何人かのアスリートは自分のビジネスを始める意欲が湧いたようです。
今後はメジャースポーツ、例えばサッカー、水泳、柔道、テニス、ゴルフなど出身の女性アスリートたちにも、もっと参加してもらいたいですし、起業家精神を育てるためのコンテンツをさらに多く提供したいと思っています。そしてWABNの同窓会ネットワークが構築されることを期待しています」
【中編】スタンフォード大、イェール大など 海外トップアスリートが一流大学を進路に選べる理由
【後編】引退後に起業&ビジネス挑戦を目指す女性アスリートに必要なスキルセットとは
■佐々木・ジャネル
米カリフォルニア州出身。EY Japanのピープル・アドバイザリー・サービスのコンサルタントとして、グローバル企業にブランディング・人事ソリューションを提供。ダイバーシティ、エクイティ&インクルーシブネス(DE&I)、グローバル人材管理、働き方改革に重点的に取り組む。女性アスリートのビジネス分野への挑戦やキャリア・トランジションのサポートを行う、EYのグローバルが創設したプログラム、WABN(Women Athletes Business Network)のリーダー及び、日本プログラムのディレクターを務め、女性アスリートと女性起業家を積極的に支援。自身も体操競技を13年間以上続けた。
■井本 直歩子
東京都出身。3歳から水泳を始める。近大附中2年時、1990年北京アジア大会に最年少で出場し、50m自由形で銅メダルを獲得。1994年広島アジア大会では同種目で優勝する。1996年、アトランタ五輪4×200mリレーで4位入賞。2000年シドニー五輪代表選考会で落選し、現役引退。スポーツライター、参議院議員の秘書を務めた後、国際協力機構(JICA)を経て、2007年から国連児童基金(ユニセフ)職員となる。JICAではシエラレオネ、ルワンダなどで平和構築支援に、ユニセフではスリランカ、ハイチ、フィリピン、マリ、ギリシャで教育支援に従事。2021年1月、ユニセフを休職して帰国。3月、東京2020組織委員会ジェンダー平等推進チームアドバイザーに就任。6月、社団法人「SDGs in Sports」を立ち上げ、アスリートやスポーツ関係者の勉強会を実施している。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)