「私もいつかまた会社で働きたい」 中野友加里が2児の母として考える育児とキャリア
中野さんが描く今後のキャリア「もう一度、会社に入って働きたい」
――世の中には自分が打ち込んできた競技に夢を乗せ、プレーさせる親もいます。
「私は“1世”にもなれていない存在ですが、“2世”の選手は難しいとスポーツ界ではよく聞きます。特に自分ができた競技は分かりすぎてしまうので、私の場合、考えや想いをぶつけてしまって、子供の重荷になる。そういう負担を感じてほしくないので」
――今は女性の社会進出が叫ばれている時代。中野さんは周りの友人、知人を見て、その意義をどう感じますか?
「私はテレビ局内が一番分かりやすかったです。テレビ局内にいるお母さんたちはすごく働いていました。お子さんを預けて、すぐに復職して。外に出ているので、見られる意識があり、美しく、輝いている方も多かった。それは若く見られる一つの秘訣に感じました。仕事とのオンオフの切り替えがしっかりとできている。そういう姿を見ていると、子育てをしながら働くのは素晴らしいことだと思います」
――セーブされているとはいえ、フィギュアスケートの審判員やYouTubeの発信など、仕事にも熱心に取り組まれています。日常において仕事は価値のあるものでしょうか?
「私は仕事をしている時間は、子供のことは考えないタイプ。一つのことに集中できることは、自分にとって良いリフレッシュになります。そういう時間を持てるだけでも幸せです。もちろん、それがエステや美容院、そのほかのことでもリフレッシュになると思いますが、私にとっては仕事をすることが自分を磨く上での、一つのリフレッシュ法になっています」
――今後の社会と自身のキャリアについて、中野さんとしてはどんな願いを持っていますか?
「私もまだまだ働きたいんです。子供がもう少し大きくなって手が離れたら、もう一度会社に入って、しっかり働きたいと思っているくらい、仕事が好き。特に、今は子育てに対して理解のある会社が増えています。そういう環境がもっと広がって当たり前になってくれればと思いますし、私自身もいつかまたそういう場所で働けたらと思っています」
■中野友加里 / THE ANSWERスペシャリスト
1985年生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子選手として史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を務めるほか、審判員としても活動。15年に結婚し、2児の母。自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設し、人気を集めている。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)