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「子供できたら詐欺なのでは…」 決断に迫られた妊娠or世界大会、罪悪感に苛まれ「私は選べなかった」――陸上・佐藤友佳

「THE ANSWER」の姉妹サイト「W-ANS ACADEMY」が国際女性デー特別企画として9日に実施したオンラインイベントに、陸上女子やり投げで活躍した佐藤友佳さんが出演。「月経とコンディショニング」をテーマに現役時代の経験とともに、昨年11月に入籍し、現在は妊娠5か月であることを明かした。終了後、「THE ANSWER」のインタビューに応じ、9月の東京世界陸上を目指して現役続行か、妊活か、今年1月の引退の裏の葛藤を明かした。(前後編の後編、聞き手=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

陸上女子やり投げで活躍した佐藤友佳さん【写真:松橋晶子】
陸上女子やり投げで活躍した佐藤友佳さん【写真:松橋晶子】

「W-ANS ACADEMY」オンラインイベントに出演 インタビュー後編

「THE ANSWER」の姉妹サイト「W-ANS ACADEMY」が国際女性デー特別企画として9日に実施したオンラインイベントに、陸上女子やり投げで活躍した佐藤友佳さんが出演。「月経とコンディショニング」をテーマに現役時代の経験とともに、昨年11月に入籍し、現在は妊娠5か月であることを明かした。終了後、「THE ANSWER」のインタビューに応じ、9月の東京世界陸上を目指して現役続行か、妊活か、今年1月の引退の裏の葛藤を明かした。(前後編の後編、聞き手=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

――イベント内で結婚と第1子の妊娠を公表されました。改めて、おめでとうございます。「現役時代からアスリートのキャリアを考えると同時に、女性としてのキャリアも考えていた」とお話されていましたが、アスリートとして競技生活を続けることと、女性として妊娠・出産をすることはどんな風に考えていたのでしょうか。

「27~8歳くらいから子どもが欲しいと思い始めたんです。周りで子どもを持っている友人も増えてきて、調べた時に30歳~35歳に妊娠のしやすさのラインがあると知った中で、やっぱり子どもが欲しい気持ちはあったのですが、2024年のパリ五輪(32歳)に行くまでは子どもは作らずに競技に集中しようと思っていました。ただ、子どもは作らなくても今後のことを考えて、例えば生理周期や基礎体温を記録することはしっかりとやっていました。

 でも、今年は9月に東京世界陸上がある。私の中で『妊娠』と『競技生活』のどっちも選べなかったんです。競技を辞めてから妊活を始めるという決断が取れなくて……。やっぱり子どもができる・できないは分からないから。なので『もし、子どもができたら引退しよう』と私の中で決めました。それを所属先の会社(ニコニコのり)に正直に話しました。『どっちも選べない』と。

 去年、パリ五輪に出られなかったからこそ、出られるものならやっぱり東京世界陸上に出たいし、世界の大会で活躍してから引退したい。でも、それだと順調に妊娠できたとして産むのは33歳になる。もし(妊活が)うまくいかなかったら高齢出産になり、リスクも上がってしまうかもしれない。ほとんどの選手が引退してから結婚して子どもを持つことが順調にいく印象があるけど、全部そうとは限らないので。そういう気持ちが両方あって、両方をどうしても捨てきれなくて……。

 自分だけの問題でもないので、不安がすごくありました。そんなことを会社に話したら『どっちでも好きなようにしていいよ、佐藤さんの人生だから』と応援してもらった。それに甘えて……ではないけど、『来年、世界陸上を目指します。ただ、もし子どもを授ったら引退します』と報告させてもらって。その後押しがあって、11月に入籍し、12月に本当に授かることができた。東京世界陸上に出たい気持ちはあったけど、喜びの方がうれしかったですね」

佐藤さんが選択した「妊娠」と「引退」【写真:松橋晶子】
佐藤さんが選択した「妊娠」と「引退」【写真:松橋晶子】

――すごく難しい選択ですね。「妊娠の判明」がすなわち「引退の決定」となる状況だったということ。

「その通りです。陸上界もオフィシャルの場で引退をされていることが多かったので、皆さんに『引退しました。今までありがとうございました』ということを会場で伝えられず、SNSでの報告になったのは心残りですね。引退試合もできなかったですが、それはいつしてもいい話。ひょっとしたら子どもを産んでから、来年か再来年か、試合に出て、自分の力試しみたいにやってもいいかなと前向きに考えています」

――佐藤さんが言うように、今までは20代で出産して復帰するママアスリートや引退後に妊活して出産した元アスリートが注目されることが多い印象でした。もちろん、周囲の理解や後押しが必要ですが、妊娠・出産と競技生活を割り切らないこともこれからの選択のひとつになるかもしれません。

「そういう考え方も許される社会になったら、みんなが楽になるかもしれないと思います。引退されてから(妊活を)頑張ったけど……という話も、なきにしもあらずだし、人それぞれの事情がある。この話は難しいけど、授かりものなので……」

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