テニス選手と月経の関係性 杉山愛が引退後に直面した「女性としての体」の苦悩
異性には話しにくいと感じる選手も、「広く、相談を受けられる女性の窓口も必要」
ですから、自分の体をよくわかってくれるコーチやドクターがいることは、心強い。また、考え方や体には個人差があり、なかには、異性には話しにくいと感じる選手もいると思うので、広く、相談を受けられる女性の窓口も必要だと思います。私自身の経験を振り返っても、当時の担当ドクターは、低用量ピルを推奨していなかったので、興味があっても試すことができなかったのが残念。その人の体に合う、合わないは、検査したり、試してみたりしないとわかりません。いろいろな選択枠を提示してあげる、そして選手自身が選べる機会を設けることはとても大切です。
アスリートは今を生きているので、どうしても無理をしがちです。しかし、競技生活後の人生は続きます。本人はもちろん、周りの方々も、選手の体を長い目で見て、大事に考えてほしいなと思います。
◇杉山 愛(すぎやま・あい)
1975年7月5日、神奈川県出身。4歳でテニスを始める。15歳で日本人初の世界ジュニアランキング1位を獲得し、17歳でプロに転向。シングルス492勝(優勝6度)、ダブルス566勝(優勝38度)、4大大会のダブルス優勝4回。ダブルスでは世界ランク1位に輝き、日本を代表するプロテニスプレーヤーとして一時代を築いた。2009年、34歳で現役を引退。その後、順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科にて修士課程を修了。現在、スポーツコメンテーター、後進の育成事業を手掛けるなど、多方面で活躍する。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)