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アルバイト経験もない人生に選手は「不安」 WEリーグが挑むセカンドキャリアの道作り

競泳の元五輪代表選手で引退後はユニセフの職員として長く活動している井本直歩子さん【写真:宮坂浩見】
競泳の元五輪代表選手で引退後はユニセフの職員として長く活動している井本直歩子さん【写真:宮坂浩見】

女子選手のセカンドキャリア「実はJリーガーにロールモデルがいる」

井本「一方で、女性の取締役就任が進まないのは意思決定のポジションに就く女性の人材が少ない、という問題もあるかと思います。WEリーグでは人材育成につながる研修も行っています。そもそも、トップのポジションを務めるために必要なスキルや経験は何だと考えますか?」

岡島「私が大切だと思うのは、人事や財務です」

井本「なるほど。企業で活躍してきた岡島さんらしい答えですね。やはり、必要なのはマネジメントスキルですよね」

岡島「私たちは将来、WEリーガーにチームの取締役や競技団体の理事になって欲しいと考えています。そのためには、競技を続けてきた人が理事として力を発揮できるよう、育てていかなければいけません。今の日本では他の企業を見ても、女性のトップの方は社外取締役の方が多い。しかし、本来は社内でキャリアを積んだ方がトップになるような教育をしていかなければならないと思います。

 WEリーグでは、プロ契約選手の全員が指導者C級ライセンス以上を取得することも参入基準に明記していますが、人材育成のステップの一つとして考えているためです」

日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」初代チェアに就任した岡島喜久子氏【写真:宮坂浩見】
日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」初代チェアに就任した岡島喜久子氏【写真:宮坂浩見】

井本「選手を経験し、ライセンスを取得してコーチングもできるようになり、ゆくゆくはチームのフロントに入り、運営を学んでもらう、という感じですね」

岡島「そうですね」

井本「岡島さんは長年、企業でさまざまな経験を積み、ビジネスのスキルを磨いてこられた。私も一つの国際機関で色々なポジションを経て、今は中間管理職にいます。しかし、プロ選手の場合、企業の一社員とは仕事がまったく異なるので、自分から将来を見据え、そこに行こうとしないと、なかなか経験を積みステップアップしていくという道筋は作れないと思います。まずは、選手の意識が変わらなければ難しいのではないでしょうか?」

岡島「そこで重要になるのがロールモデルの存在です。実はJリーガーには、ロールモデルが結構いるんですね。

 例えば、WEリーグの事務局にも元Jリーガーがいますし、協力会社にも元Jリーガーがいます。2人ともスター選手ではなかったと仰っていますが、引退後、さまざまな仕事を経験し、現職に至ります。セカンドキャリアは男性女性関係ないので、彼らのような元Jリーガーたちが、WEリーガーのロールモデルになる。今後、セカンドキャリア研修などの場で、彼らの話を聞ける場を設けたいと思っています」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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