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アルバイト経験もない人生に選手は「不安」 WEリーグが挑むセカンドキャリアの道作り

WEリーグが組織として「ジェンダー平等」にこだわった理由とは【写真:Getty Images】
WEリーグが組織として「ジェンダー平等」にこだわった理由とは【写真:Getty Images】

熊谷組はジェンダー平等推進で売上増&残業減というデータ

岡島「WEリーグも11クラブの社長は全員男性ですしね。しかしすべてのチームに、今後3年の間に体制を整えてください、と伝えています」

井本「やはり、最初はかなり強制的にやらないと、進まないんですね」

岡島「現状に慣れていて、変化させるには力がかかる。だから、新たに取締役に女性を積極的に起用しよう、と言ってもなかなか進まない。ですから、クオータ制は日本に合っていると思います」

井本「これからWEリーグのチームが、ジェンダー平等を表面上だけでなく、組織としてしっかり実現していくために、どのような働きかけをしていかれますか」

岡島「これまでもなぜ今、企業でジェンダー平等を推進するべきなのか、それがいかに企業の業績向上につながるのかなど、WEリーグの理事たちから各チームのトップの方たちにお話してきました。引き続き、女性の採用・登用は会社にとってメリットだということを積極的に見せていきます。

 これはサッカー界に限らずですが、ジェンダー平等を進めるうえでは、女性だけでなく男性の意識の改革が非常に重要です。例えば、日本のゼネコンの熊谷組は約5年前からジェンダー平等に取り組み、今は男性社員全員が育休や介護休暇が取れます。その5年の間に売上が上がり、残業が減ったそうです。数字で見ても明らかな成果が出ているんです」

井本「そのデータは初めて聞きました」

岡島「建築業界という男性社会の企業がジェンダー平等に取り組み、いかに成果が出ているかを周知させることは、日本の企業がジェンダー平等を実現していくうえで、効果的だと思います」

井本「そういう意味では、チームの親会社だけでなく、スポンサー企業とのパートナーシップ的な取り組みも非常に画期的ですね」

岡島「そうですね。どの企業も、社内に取締役になる女性がいない、女子社員の入社が少ない、入社してもすぐに退社してしまうなど、様々な問題を抱えています。そこで、ジェンダー平等を掲げるパートナー企業各社から、各1名の社員に参加していただき、WEリーグと一緒に、自社、そして社会にどんなジェンダーの課題があるのかを見つけていきましょう、という『WE ACTION』という取り組みをキックオフさせました。今まで、このようにスポンサー同士が横に繋がるコミュニティはなかったと思います」

井本「素晴らしいですね。スポーツのリーグがスポンサーをパートナーにして、社会課題への取り組みや、女性のエンパワーメントを共同で行う。これは、これからの時代のパートナーシップの新しい形ではないかと大変刺激を受けます」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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