女性アスリートにとって生理の大切さ 「敏感すぎ」と言う女性指導者も気づいてほしい
スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第20回は「指導者も気づいてほしい生理の大切さ」について。
連載「女性アスリートのカラダの学校」第20回―「指導者も気づいてほしい生理の大切さ」
スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第20回は「指導者も気づいてほしい生理の大切さ」について。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
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私は全国各地で講演をさせていただく際、「女性アスリートは生理と向き合うことが大切である」と、常に伝えています。
例えば、「自分は生理中(あるいは生理の周期に伴い)、どのようにコンディションや体重が変化するのか?」を認識する。また、生理の影響でコンディションが悪くなるのであれば、「どのように練習やトレーニングに取り組み、対応すればいいのか」を考える、などなど。しかし、それに対して、「生理に関して過敏になりすぎではないか」「あまり気にしないほうがいいのではないか」という意見をいただくこともあります。
これらは女性指導者の方から言われることが多く、最初の頃は「生理と向き合うほうがマイナスだと捉えられるのか」という、驚きを感じていました。
確かに、コンディションの良し悪しは、様々な要因によって決まります。しかし、生理もその一つであることは間違いありません。ですから、「みんなあることだから」とか「たいしたことではない」と一蹴せず、生理中や生理の周期によって「自分は心身の調子や感覚はどう変化するのか?」を、まずは一度観察してみてください。
もしかしたら、月経周期によってコンディションは変化しない人もいるでしょう。でも、これは、とても大事なことです。観察してみないことには、それさえもわからないからです。
生理と体調や体重の変化との関わりを知れば、大事な試合をベストコンディションにもっていくよう作戦を立てることも可能です。また、健康な生理を維持しながら競技に取り組むほうが、練習やトレーニングの成果も出やすくなりますし、ひいては選手寿命も長くなります。ですから、女子アスリートを指導するのであれば、生理の問題を「たいしたことではない」と一蹴しないでほしいのです。
選手にトレーニングや練習のやり方、競技に必要な体の動きを教えるだけが、指導者の役目ではありません。調子がよいとき・悪いときも、「今、自分の状態はこうだから、こんな練習が必要だ」「このぐらいのトレーニング量をこなそう」など、選手自身が考えられる力をつけさせるのも、役目の一つ。であれば、コンディショニングを教えるなかで、生理と正しく向き合う大切さを伝えることも欠かせません。