「可愛すぎるアスリート」と呼ばれて 28歳になった重量挙げ・八木かなえが今語る本音
次世代の選手へアドバイス「周りがどう言おうと…」
期待と目標のギャップも、リオ五輪の前には受け入れられるようになった。今では「メディアの力に頼らないといけない」と競技普及を目的にテレビや雑誌などにも出演。目標とは違う、少し大きめの期待にも「いい意味でスルーする」と笑うことができる。
「言われたことを鵜呑みにして全てを取り込むようなことはしないです。『自分の目標があるから』と思えるようになったので、気持ちも楽にいられるようになりました。(報道と)うまくお付き合いできるようになったというか(笑)」
容姿への注目を競技に向けさせる、または期待と現実のギャップを埋めるには「もう練習あるのみですね。やっぱりそこしかない」と言い切った。これから先、自身と同じ悩みを抱える選手が出てくるかもしれない。子供たちや高校生など、若い選手に向けて自分なりのアドバイスを送ってくれた。
「自分を見失わないことですかね。周りがどう言おうと、自分の決めた目標に向かって進むことの大切さを伝えられたらいいなと思います。自分に合った目標が大切。目標が大きすぎると、なかなか達成できずにしんどくなってしまうことが多いです。
達成できるか、できないかギリギリのところに目標をしっかりと定めて、そこに向かって練習して、それをクリアできた時はもうちょっと大きな目標にすればいいと思います。大きな目標を持っておくことは大事かもしれないですが、大きな目標を持つなら目の前の目標も一つ持ってみる。そうすれば自然とやる気が出るんじゃないかな」
自身は全日本選手権53キロ級で2015年から4連覇。新階級制により55キロ級への転向を余儀なくされたが、昨年大会も優勝した。嘘偽りなく、来年の東京五輪出場をはっきりと見据えている。
3度目の夢舞台は、どんな大会にしたいのか。この問いの答えには、“等身大の八木かなえ”が映されている。
「コロナで試合がなくなって目標を失った子たちも凄く多い。そういった子たちにオリンピックって本当に凄いということを知ってもらいたいです。そこを目標にしてもらったり、オリンピックではなくても何か頑張れるような目標を見つけてもらえるように。そういうことをお伝えできたらなと思います」
目標を決めるのは、他の誰でもない自分自身。その道を歩むのも自分しかいない。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)