1日平均7時間 世界有数の座りっぱなし大国日本、“便利時代”の健康をどう守るか
推奨されるリモートワーク、「浮いた1時間」をどう過ごすか
一方、外を歩いたり、走ったり、荷物を持ったりなど、体を動かす機会さえなくなれば、使われない筋肉は、どんどん落ちていきます。すると、体の力だけでは、生きてはいても、日常生活を送ることもままならなくなっていく。そんな世界を想像すると、恐いですよね。
また、リモートワークと聞くと、最初は誰もが、「満員電車に乗らなくていいんだ」「会社に出社しなくていいんだ」と、うれしい気持ちにもなります。でも、だんだん人に会う機会がなくなる、こもりがちになる可能性も高く、うつ症状を抱える引き金になるのでは? と、心の問題を指摘する声もあります。
リモートワークは世界的に起きている流れなので、もうすぐ当たり前の時代がきます。今の30代、40代は、その流れがたとえ10年、20年後だったとしても、まだまだ現役で働いている世代。働き方が変わった時に健康を害さないよう、今からでも、外に出る、体を動かす習慣をつけることが、とても大切です。
通勤時間がなくなれば、多くの人は1時間以上、今よりも自由な時間が増えるでしょう。もし私が会社員だったら、「運動する時間増えるじゃん!」とうれしくなりますが、「座りすぎ」「歩かない」生活が進むなか、貴重な「浮いた1時間」まで、横になってテレビを観たり、ゴロゴロ過ごしたりする時間に充ててしまったらもったいない。ぜひ、楽をする時間ではなく、体を動かす時間に充ててほしい。そうやって、人々の生活サイクルに「運動」が当たり前に組み込まれる世の中であれば、トレーナーとしてもリモートワークに大賛成です。
大人ですから、苦行のような運動では、やる気が起こらないし、続きません。ちょっとでもやってみたい、楽しそうだなと思うものがあったら、とにかく一度、実際に体験し、体を動かしてみましょう。スポーツに限らず、体操や山登りなどのレジャーでもいい。一つに限らず、「楽しい」と思える運動を探してみてください。
(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)