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ボディビルダーが「20%」? 意外と知らない「体脂肪率」の理解すべき知識

高橋尚子さんは「体脂肪率2%」ってホント?

 もし、脱いだ時に体がのっぺりしていて恥ずかしい、というのであれば、筋トレで筋肉にメリハリをつけて、引き締まった体に見せるのもいいでしょう。体脂肪を低くするのではなく、低く見える体を演出するという効果を狙うパターンですね。

 ただ、体脂肪率を下げたいのであれば、筋トレよりも走る距離を稼ぐ方が効率はいいでしょう。もっと言うといらない筋肉をつければ、走るスピードが落ちる可能性もあります。

 元マラソンランナーの高橋尚子さんは以前お会いした時に「私、体脂肪率2%なんです」と言っていました。私が「そんなのあり得ませんよ」と言うと、周囲に国民栄誉賞の方に何を言っているんだと突っ込まれましたが、国民栄誉賞と体脂肪率は関係ありません(笑)。2%なんて、推定値だし、しかも誤差でしょう、と思いました。

 しかし、さすが国民栄誉賞、彼女の場合、体脂肪率の推定方法も我々とはまったく異なります。MRIで頭の先から足先までを撮影したそうです。おそらく多くの画像から体脂肪の体積を推定して算出したのでしょう。それなら正確性が高いのは確かです。それでも、「2%」という数値より「体脂肪はほぼついていない」という表現の方が正確でしょう。

 私が高橋さんとお会いして何より驚いたのは、体脂肪率ではなくふくらはぎです。高橋さんのふくらはぎは、めちゃめちゃデカく、かつ絞れている。つまりマラソンの原動力は脚であり、そこにエンジンが集中しているという証です。

 私が思うに、上半身は細くてもふくらはぎの筋肉は重量感があるというのが、長距離ランナーとしての最強の体形なのでしょう。せっかくマラソンが趣味なのであれば、「体脂肪が高い」と気にするよりも、「もっといい記録を狙おう」というポジティブな考え方で、例えばパフォーマンスアップにつながる脚の筋トレをするなどの体作りに取り組んでほしいですね。

 ちなみに、体脂肪の増減を把握したい方は、腹まわりの定点観測をするとよいです。お腹は内臓脂肪がつく唯一のエリアであり、かつ皮下脂肪がもっとも厚くつくエリア。ですから、体脂肪の増減が自分でも推測できます。計測の方法は2つ。おすすめは、へその横の肉をつまみ、その厚さをみる方法。これは皮下脂肪厚法(または皮脂厚法)という計測法のアレンジです。指でつまんでもわかりにくいので「キャリパー」というスケールを使って計測しましょう。プラスチック製のものでしたら安価で手に入ります。

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岡田 隆

1980年、愛知県生まれ。日体大准教授、柔道全日本男子チーム体力強化部門長、理学療法士。16年リオデジャネイロ五輪では、柔道7階級のメダル制覇に貢献。大学で教鞭を執りつつ、骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌などメディアでも活躍。トレーニング科学からボディメーク、健康、ダイエットなど幅広いテーマで情報を発信する。また、現役ボディビルダーでもあり、2016年に日本社会人ボディビル選手権大会で優勝。「つけたいところに最速で筋肉をつける技術」「HIIT 体脂肪が落ちる最強トレーニング」(ともにサンマーク出版)他、著書多数。バズーカ岡田公式サイトhttps://bazooka-okada.jp/

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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