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革新的ラグビーか、底知れぬ修正力か NZ対南アフリカ、W杯4強の激闘から占う頂上決戦の行方

NZの仕留め方を見て思い出した名将の言葉

 お気づきの方もいるだろうが、20年前のラグビーならFWの選手には、かなり「ふくよかな」選手がいたが、最近はスクラムのエキスパートであるPRらでも、かなり締まった「がっちり体型」に変化している。ラグビーが、伝統的な“押し合い”から、ボールが動き、どんなポジションの選手にも運動量が求められるようになってきたからだ。日本代表の多くの強化合宿でも、初日にはフィットネステストが行われ、練習、試合ではジャージーに運動量などを計測するためのGPSが装着され、選手の運動量は刻々とデータ化され、チェックされている。

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 だが、ニュージーランドがこの夜に叩き出したボール・イン・プレー時間で戦い続けるためには、さらに過酷な持久力、運動量が選手に求められることになる。従来と変わらず、プレータイムの短いラグビーを志向するチームもあるだろうが、この夜のゲームのようにボールを動かし続けるラグビーで相手が挑んでくれば、当然、今まで以上の運動量が求められることになる。日本もボール・イン・プレーの時間が長いゲームを目指すチームの1つだが、この夜のニュージーランドに続いて、40分台のプレー時間を良しとするチームは、これから必ず出てくるだろう。

 44-6というスコアは、準決勝では歴代2番目の得点、得失点差と、最少タイの失点という結果になった。参考までに、最多は同じニュージーランドが第1回大会でマークしている。ウェールズを49-6と圧倒して、そのまま頂点に駆け上がった。1週間前の準々決勝4試合とは対照的なゲームになったが、こんなデータに関する記事を試合前に読んでいた。

 大会公式サイトの、過去のこの2チームの対戦に関しての分析で、アルゼンチンが前半をリードしたのは36試合中5試合のみだという。この時間帯に、どう失点を抑えるかが、33敗している相手を倒す第一関門だった。しかし、開始早々に立て続けに22メートルラインを突破して奪った先制PGが精一杯だった。

 一方、ニュージーランドの仕留め方を見ると、数年前に聞いた名将の言葉を思い出す。

「オールブラックスは、前後半の開始直後、終了直前、そして相手の得点後にスコアを狙ってくる」

 以前にコラムでも紹介した、ロビー・ディーンズさんの指摘だ。パナソニック埼玉ワイルドナイツを率い、過去にはカンタベリー・クルセイダーズをスーパーラグビー6度の優勝に導いた。この名ヘッドコーチ(HC)は、“オールブラックス”は、彼らの得点が相手に効果的なダメージを与える状況で集中力を上げてくるという。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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