ラグビーW杯の国歌斉唱になぜ異論? 海外代表OB「試合前が台無し」「普通に歌って」と不満のワケ
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は開幕して初めての週末を終えたが、現地では「国歌斉唱問題」が沸き起こっている。試合前に両国国歌が奏でられるのはテストマッチの定番だが、フランスのラグビー専門紙「ミディ・オランピック」などの報道では、主催者のフランス組織委員会が変更を検討しているという。
今大会では児童合唱団の歌声を事前収録
ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会は開幕して初めての週末を終えたが、現地では「国歌斉唱問題」が沸き起こっている。試合前に両国国歌が奏でられるのはテストマッチの定番だが、フランスのラグビー専門紙「ミディ・オランピック」などの報道では、主催者のフランス組織委員会が変更を検討しているという。
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ラグビーの試合前の国歌斉唱は、ビッグマッチなら会場で生演奏の前で歌手が歌うのが通例。7、8月に国内で行われた日本代表戦でも、ブラスバンドの生演奏が採用されている。
今回のW杯は、テレビ中継や直接試合会場ですでに聞いたファンも多いだろうが、録音された児童合唱団が歌う国歌が会場に流されている。だが、この方法に不満の声も少なくない。
元イタリア代表主将で、強烈なリーダーシップでチームを牽引したミルコ・ベルガマスコは自身のSNSでこう呟いている。
「国歌を普通に歌ってほしい。最も重要なのは選手たちだ。これは特別な瞬間なんだ」
ベルガマスコが訴えたように、不満の理由としては、会場の試合前の雰囲気に合っていない、試合へ向けての興奮が弱まるという声があるという。今大会の国歌斉唱への反対を募るSNSもアップされる状況で、元アイルランド代表FBで3度のW杯出場を誇るロブ・カーニーも、反対意見のリストに名前を書き込み「神様への愛を込めて、皆に国歌を返して欲しい。試合前の5分間の喧噪は台無しだ!」と怒りを込めた。
ちなみにラグビーの国歌斉唱で、実は国歌を歌わないチームもある。
ウェールズ、スコットランドは、政治的には英国(UK)に属する一地域だが、ラグビーでは「国」として認められている。そのため、彼らが試合前に歌うのは英国国歌の「ゴッド・セイブ・ザ・キング」ではなく、それぞれのラグビーアンセム(国歌)である「ランド・オブ・マイ・ファーザーズ」であり「フラワー・オブ・スコットランド」。またアイルランド代表は、政治的に分裂したアイルランド共和国と英国領北アイルランドの連合代表チームのために、共和国国歌の「ソルジャーソング」と代表チームのラグビーアンセムとなっている「アイルランド・コール」を併用している。