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“剛”のフランスと“柔”のNZが好勝負 ラグビーW杯歴代屈指「美しき開幕戦」に見た優勝候補の強さ

両チームとも不安材料を抱えるもライバルに強烈なインパクト残す

 だが、後半にはフィジカルの優位で相手に重圧をかけて主導権を奪い取り、逆にニュージーランドに3分のトライ以降は終了目前まで22メートル内に入れさせないゲーム展開を見せた。攻撃力が武器のオールブラックスが、35分以上も敵陣ゴール前に侵入できないゲームは、あまり見る機会はない。前後半のデータでも、フランスのボール保持率(ポゼッション)が44%から53%、陣地支配率(テリトリー)で44%から78%と、ハーフタイムを折り返してからはゲームを支配していたのが読み取れる。

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 敗れたオールブラックスだが、今季好調だったFLサム・ケイン主将が、試合前日の練習で負傷して、当日に欠場が決まるという緊急事態の中だったが、前半は優位に立つなど、自分たちの強みをしっかりと生かした試合運びを見せられたのは、決勝トーナメントへ向けて自信になるはずだ。急遽ゲームキャプテンを務めたサベアは敗戦後の会見で、こうゲームを振り返った。

「キャプテンがいないことは苦しいが、代わりにプレーした選手たちはしっかりと役目を果たしてくれたと思う」と選手を称えた。最後の20分は、自分たちをコントロールできなかったが、もう一度立て直して、前に進みたい」

 凱歌をあげたフランスも、強烈なブレークダウンでのファイトとセットプレーのキーマンでもあるHOジュリアン・マルシャンが前半わずか12分に、古傷の太ももを痛めて退場するなど、ここからの長い戦いに不安材料もある。互いに、どれだけ核になる選手をトップコンディションで長期戦を戦えるかも、覇権争いのためには重要なポイントになりそうだ。

「9・8」を着火点に、日々強豪国、注目チームが“開幕戦”に登場するラグビーの祭典。まずは、ホストチームが優勝候補としての地力を印象づけ、オールブラックスも昨季の苦闘から抜け出す光明を掴んで、対抗馬たちに強烈なインパクトを突きつけたオープニングマッチとなった。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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