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“剛”のフランスと“柔”のNZが好勝負 ラグビーW杯歴代屈指「美しき開幕戦」に見た優勝候補の強さ

キャリーメーターではNZ、タックル回数ではフランスの選手が上位独占

 このバレット、2トライのテレア、モウンガと、天性のトライゲッターとして期待の若手WTBウィル・ジョーダンの4人が、ボールを持って攻撃した距離を示す「キャリーメーター」のデータでは、勝者であるフランスの選手を抑えて上位4枠を独占していた事実が、この試合のオールブラックスの戦いぶりを物語る。

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▼開幕戦キャリーメーター数
1位 FBボーデン・バレット(NZ) 123メートル
2位 WTBマーク・テレア(NZ) 114メートル
3位 SOリッチー・モウンガ(NZ) 93メートル
4位 WTBウィル・ジョーダン(NZ) 78メートル
5位 HOペアト・モーヴァカ(フランス) 75メートル

 勝者のフランスも、もちろん顕著な数値を叩き出している。タックルの領域だ。まず先にタックル回数の数値を紹介しておこう。

▼開幕戦タックル回数(成功率)
1位 NO8グレゴリー・アルドリッド(フランス) 15回(94%)
2位 FLシャルル・オリヴォン(フランス) 15回(94%)
3位 CTBガエル・フィク(フランス) 14回(82%)
4位 HOペアト・モーヴァカ(フランス) 12回(80%)
5位 FLダルトン・パパリイ(NZ) 12回(86%)

 キャリーメーターとは対照的に、フランスの選手がトップ4を独占している。参考に付け加えたタックル成功率を見ても、回数だけではなく効果的なタックルが多いことが分かる。中でもNO8(ナンバーエイト)アルドリッド、FL(フランカー)オリヴォンのバックロー(FW第3列)2人が最高値の15回のタックルを浴びせ続け、成功率でも質の高さを示す。この2人の驚異的なタックルが、攻撃に長けたオールブラックスのスコアをわずか13点に封じ込んだ要因の1つなのは間違いない。

 とりわけアルドリッドは、接点での強靭な破壊力で鳴らしてきた選手だが、開幕戦では常にボール争奪の周辺に「8番」が居るような高いワークレートで、世界最高峰のバックローと評価されるオールブラックスのNO8アーディー・サベアを凌駕する活躍を見せた。

 前半のフランスの苦闘を考えると、優勝の期待が高まる母国での開幕戦に、明らかに序盤から力みが出ていた。試合前のピッチへの入場シーンでのアントワーヌ・デュポン主将の気合の入りすぎた表情が象徴的だったが、いつものテストマッチでは見られないラインアタックでのパスの乱れや、タッチライン際にボールを運んだチャンスに、選手がボールをリサイクルするよりも無理して持ち込んで、結果的に反則などで攻撃権を失うプレーが目についた。その影響もあり、初めて敵陣22メートルライン内に侵入できたのは、キックオフから32分後だった。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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