トップリーグが異例の早期中止を決定したワケ 企業スポーツが持つ“社会的影響力”
新型コロナウィルスがスポーツ界にも深刻な影響を及ぼす中で、日本ラグビー協会は23日にトップリーグ(TL)の中止を発表した。通常は8月に開幕するTLだが、2019年シーズンは昨秋のラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の影響で年を越えた1月12日に開幕。6節を終えて休止となっていたが、史上初めて開幕からすべての試合を無効として幕を閉じることになった。
23日にトップリーグ全試合の中止を発表、史上初めて開幕からの全試合が無効に
新型コロナウィルスがスポーツ界にも深刻な影響を及ぼす中で、日本ラグビー協会は23日にトップリーグ(TL)の中止を発表した。通常は8月に開幕するTLだが、2019年シーズンは昨秋のラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の影響で年を越えた1月12日に開幕。6節を終えて休止となっていたが、史上初めて開幕からすべての試合を無効として幕を閉じることになった。
TL終了後の5月23、30日にリーグ上位4チームが出場して開催予定だった日本選手権は、今後の状況を見据えながら開催の可否および参加チーム数、大会方式などを再検討して、4月中旬を目処に決定することが明かされた。ここまでのチーム成績は記録上残らないが、トライ数、出場回数などの個人成績は記録に加えられるという。
中止という大きな決断には、19日に示された政府専門家会議による「一部地域で感染拡大が継続しており、大規模流行につながりかねない」という見解と、翌20日のリーグと参画チームとのテレビ電話による意見聴取が大きく影響した。太田チェアマンは延期、無観客試合ではなく、中止に踏み切った理由を「ウィルス感染の拡大が収まるのかどうかが、まだわからないというのが一番で、これがもしかしたら伸びるんじゃないかというのが大きかった。それと、チームおよび選手の健康と安全が担保できるかどうかというのを払拭できなかったのが大きい」と説明している。
この判断に加えて協会、チーム関係者を取材すると、一部のリーグ参画企業から、自分たちの業種を考えるとラグビーの試合で社員に感染者を出した場合に大きなイメージダウン、社会的に叱責を受ける恐れがあるという意見がでたことも、中止の判断を後押ししたようだ。もちろん、多くの外国出身選手が政府からの要請もあり帰国していることも近日中の再開を難しくしている。もし4月一杯を休止にすれば、5月に残された試合は代替開催日を含めてわずか2節。再開してもリーグ戦として成立させるのは難しいという判断もあった。