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2023年フランスW杯で期待 “ポスト福岡”、超大型の双子…TLで輝くルーキー11人衆

サンウルブズでもプレーする三菱重工相模原のマイケル・リトル【写真:Getty Images】
サンウルブズでもプレーする三菱重工相模原のマイケル・リトル【写真:Getty Images】

サンウルブズでプレー経験のあるリトルも次世代のジャパン候補

 可能性を秘める存在としては、日本人PRに原石が多いのも今季のルーキーの特徴だ。帝京大からトヨタ自動車入りしたPR淺岡俊亮は、身長186センチ、体重121キロのサイズを武器に開幕戦に途中出場すると2節からは先発でトヨタのスクラムを支えている。

 神奈川・桐蔭学園高―明大と常に日本一を狙う名門で不動の3番に君臨したサントリーサンゴリアスのPR祝原涼介も身長184センチ、113キロとサイズは十分。TLでは開幕戦で途中出場。スクラムの強さも魅力だが、戦況を読む冷静さと判断力などインサイドワークにも長けている。試合中にスクラムの組み方を変えるなど修正力を武器にW杯でも善戦した日本代表FWでも能力を生かせるはずだ。

 大東大からリコーブラックラムズ入りした双子のタラウ、アマトのファカタヴァ兄弟も世界クラスのポテンシャルを秘めている。タラウが身長194センチ、アマトは195センチという大型選手で、大東大留学前にはニュージーランドの名門クルセイダーズが将来性を認めて育成選手にしていた逸材だ。大学時代は2人ともFWでの出場が多かったが、アマトはリコー入り後に本格的にWTBに転向。キックを積極的に使ってアンストラクチャーな状況を作る戦術では、その高さが大きな武器になる。

 同じWTBで開幕戦から活躍するのが、近大からキヤノンイーグルス入りした山田聖也だ。サイズこそ身長173センチ、体重81キロと日本選手の中でも小柄だが、瞬時の加速力と体幹の強さ、柔軟さを併せ持ち、相手防御をズラして間隙を突くようなランプレーが異彩を放つ。開幕から4試合フル出場を続けて2トライをマーク。フィジカル面のパワーアップが、国際舞台への課題になりそうだ。

 最後に“特例”で触れておきたいのは、三菱重工相模原ダイナボアーズのCTBマイケル・リトルだ。すでに入団3シーズン目。サンウルブズでの活躍を知っているファンも多いはずだが、チームの昇格で今季初めてTLの舞台でプレーをしている。父・ウォルターさんは元オールブラックスの名CTBで三洋電機(現パナソニック)でもプレーしたため、リトル自身も群馬県太田市で幼少期を過ごした。

 ニュージーランドでは期待されながらスーパーラグビー出場を果たせなかったが、切れ味鋭いステップと力強い加速力を武器にサンウルブズでは中心選手として活躍。防御面での課題もスーパーラグビーでプレーする中で修正してきた。

 4節を終えてボールキャリー49回、防御突破32回と、日本代表FB松島幸太朗(サントリー)のスタッツ(53回、23回)とも遜色ない数値をマーク。防御でもタックル回数27(うち成功20)は、日本代表CTBラファエレ・ティモシーの20回(成功12回)を上回る。来日時点で、規約上昨年のW杯での日本代表入りは不可能だったが、2023年のフランスでは日本代表の中心選手に成長する期待が高まる逸材だ。

 日本代表のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチも、ベスト8以上に挑む2023年W杯へ向けては、若手選手の成長による代表選手層の厚みを増すことを課題に挙げている。待ち受ける最初のゴールは、TL閉幕後の6月27日から始まるウェールズ、イングランド両代表とのテストマッチ3連戦。熱気の中で繰り広げられたTL4節までに可能性を輝かせた新戦力たちが、第5節以降にどこまで能力に磨きをかけることができるかに注目だ。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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