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2023年フランスW杯で期待 “ポスト福岡”、超大型の双子…TLで輝くルーキー11人衆

トヨタ自動車の高橋汰地【写真:Getty Images】
トヨタ自動車の高橋汰地【写真:Getty Images】

スタッツで竹山を上回るのは名選手を父にもつ、トヨタ自動車WTB高橋

 その竹山を上回る数値をたたき出すのが、トヨタ自動車ヴェルブリッツのWTB高橋汰地だ。明大の昨季大学選手権優勝メンバーは、父・晃仁さんも神戸製鋼黄金時代のWTBとして活躍したサラブレッド。竹山のスピード感、しなやかさに対して、高橋はフィジカル面でも当たり負けない力強いランプレーが魅力だ。トライ数は2と竹山に劣るが、「ゲインメーター」458メートルはリーグトップの数値。相手防御の突破回数25(同4位タイ)、相手に触れられずに防御を突破する「クリーンブレイク」13回(同2位タイ)と、リーグでもトップクラスの数値が実力を示している。

 トヨタのルーキーでは、帝京大の2018年度主将だったLO秋山大地もポテンシャルの高さを輝かせている。身長192センチ、体重110キロのサイズは、190センチ台後半から200センチ級の外国人選手が居並ぶTLでは“大型LO”とは言えないが、踏み込みの鋭いロータックルでサイズ=重量のハンデをスピードで補っている。

 帝京大時代からの持ち味でもあるひたむきさは、タックル回数25という数字が物語っている。ともに4節までの出場時間で秋山を上回るオールブラックス不動のLO陣サム・ホワイトロック(パナソニック)の17、ブロディ・レタリック(神戸製鋼)の23をも上回っているのだ。攻撃面でボールタッチ回数を増やすための運動量に磨きをかければ、代表ジャージーに近づくはずだ。

 同じトヨタで開幕スタメン入りしたFL古川聖人も国内最強リーグでポテンシャルの高さを証明している。東福岡高、立命館大、U20日本代表と主将を任された天性のリーダーは、しぶといタックルとラックで相手ボールを奪う「ジャッカル」を、ヤマハ発動機ジュビロとの開幕戦から連発。身長179センチ、体重95キロのサイズは代表入りには高いハードルとなるが、日本選手らしい“リンクプレーヤー”としての可能性を秘める。大学時代も多かった怪我をしないコンディション作りとジャッカルに磨きをかけることができれば“次のステージ”への可能性が開けてくる。

 パナソニック、神戸製鋼とともに開幕4連勝と好調な東芝のNO8シオネ・ラベマイも、次回W杯への“隠し玉”となりそうな存在だ。拓殖大時代はチームが上位争いには顔を出せなかったため、その存在が大きくクローズアップされなかったが、昨春東芝入りしてからフィジカルの強さ、機動力とTLでも十分通用する破壊力を披露してきた。

 スピードは日本代表NO8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ)には及ばないが、FW戦の核となり、ゲインラインをこじ開けるようなフィジカルバトルでのパワーが持ち味だ。開幕戦でプレーしたブラインドサイドFLとしての可能性も秘めている。次回W杯では昨秋の「8強」以上を目指す日本代表にとっては、密集周辺での肉弾戦でのパワーアップは避けられない課題。新たなジャパンの“パワーハウス”として、国際舞台で磨きをかける価値ありの原石だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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