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五輪から消えた野球「裾野が小さく…」募る危機感 復活のロス五輪は「勝てばいい」じゃない日本の責務

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

無観客の開催で金メダルを獲得した野球日本代表【写真:Getty Images】
無観客の開催で金メダルを獲得した野球日本代表【写真:Getty Images】

「シン・オリンピックのミカタ」#82 東京五輪から消えた競技の今・野球

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 日本は2021年に行われた東京五輪で、27個の金メダルを獲得した。そのうちの一つが野球だ。プロ選手で構成された日本代表「侍ジャパン」は、1次リーグから5連勝で頂点に立った。ただ今大会は実施種目から外れ、2028年のロサンゼルス五輪での復活が決まっている。国内にプロ野球という大きな市場を持つ野球にとって、五輪参加にはどんな意味があるのか。東京の代表にかけた期待とは――。日本代表の強化本部長を務めた山中正竹氏(全日本野球協会会長)に聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太)

 ◇ ◇ ◇

「東京五輪に参加したあのチームの素晴らしさを、どうしても伝えきれない部分があった。それは本当に残念に思っています」

 山中氏に、東京五輪が野球界に残した“レガシー”を聞くと、何とも無念そうな答えが返ってくる。新型コロナ禍の最中に、1年延期して行われた異例の大会。それでもスタンドに観客を入れることは叶わなかった。

「テレビ中継やいろいろなインタビューで、その瞬間は感動してもらうことはできたかもしれない。でも実感がどうしても伴わないんですよ。現地で見た人がいないのだから。もし観客の前で行われていたら、昨年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)くらいの盛り上がりがあったと思います。五輪における野球の存在を間違いなく示せたはずだとね」

 金メダルを獲得した選手にも、どこかで「喜んでいいのかな?」という葛藤が見えたという。

「本当に五輪をやっていていいんだろうか? という思いが、みんなの心の中にあったのではないかな。だから喜びも多少抑えながらね。僕らから見たら、痛々しいくらい周囲に配慮して。それが、あの“侍”たちの人間性でもあった。さすがだなとは思いますけどね……」

 スポーツは社会情勢と無縁ではいられない。そんな当たり前のことを感じさせられた大会でもあった。

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