井上尚弥、トップランク入りで対戦相手減少? 米記者が指摘する放映権と階級の影響
階級アップに伴うリスクとは「鋭いパンチだけでは物足りなくなる」
同じ階級で戦っても、本来の体重差が与える影響は、井上とドネアの一戦でも見られたと話す。
【PR】学生向けのお得プランが新登場!ABEMA de DAZN 学割キャンペーン、通常年額の半額でAFCアジア予選・日本代表戦、欧州リーグなどが視聴可能に
「井上は去年、スーパーフライ級からバンタム級に上げた。逆に、ドネアは去年、フェザー級やスーパーバンタム級から7年ぶりにバンタム級に落としてきた。その体のサイズやスタミナの違いは、今まで相手をKOしてきた井上のパンチを受けても、ドネアが簡単には倒れなかったところに表れていると思うんだ。もちろん井上にはいいジャブがあるし、パンチも真っ直ぐで鋭い。でも、階級が上がった時には、鋭いパンチだけでは物足りなくなってしまう」
それでは、階級を上げた選手が元々の体格で勝る選手に対抗するには、何を武器としたらいいのか。ヘルナンデス記者は「スピード」だと話す。
「元のサイズが自分より大きい選手に勝つには、スピードが大事になる。上の階級の選手はパンチが重い。いくらパンチをブロックしても、叩かれればダメージは残るもの。ダメージを受けないためには、相手のパンチが触れられないくらいのスピードで避けるのがベストだから。
井上は日本人の中ではスピードがある方だけど、世界を相手に見た場合、特別に速いとは思わない。いずれは階級を上げてロマチェンコと対戦するんじゃないかと言われているけれど、今のスピードは元の体格差を埋めるほどではないと思うんだ。スピードは生まれ持った才能だから、何か武器を増やしたり対策を考える必要はあるだろうね」
とは言うものの、現在のボクシング界は選手層が薄く、特に軽量級には有望選手が少ないという現実もある。「井上にとってベストの階級でどこまで強くなるかを見てみたい」と願うヘルナンデス記者も、現実と理想のジレンマを感じているようだ。
「20年前は自分の戦う階級に次から次へと強豪選手が登場し、階級を変える必要のない選手が多かった。今は強い選手ほど対戦相手がいなくなって階級を変えなければいけない。強い選手にとって大変な時代になってきたね」
強すぎるがゆえに直面するハードルを越えながら、“モンスター”井上はどこまで強く成長していくのか。今後もその戦いぶりから目が離せない。
(THE ANSWER編集部)