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もう一つのジャパン 7人制代表は東京五輪でメダルを狙えるのか? 現在地と課題

オリンピックという舞台に立てる可能性を秘めている松島幸太朗【写真:Getty images】
オリンピックという舞台に立てる可能性を秘めている松島幸太朗【写真:Getty images】

スピードとフィジカルを持ち合わせた松島にも大きな魅力

 7人制日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチを中心とした首脳陣による選手選考次第だが、すでに東京オリンピック挑戦を表明しいている福岡堅樹に関しては、メダル獲りへの大きな戦力になるのは間違いない。7人制に限れば、海外にも福岡に負けない俊足ランナーは少なくはないが、初速からイッキにトップギアに入る加速力ではライバルの追随を許さない。タックルから、そのまま相手ボールを奪うコンタクトでのスキルと力強さは、東京オリンピックでもワールドカップ日本大会と変わらない活躍が期待できる。

 リオ経験者で、7人制代表でのパフォーマンスを評価されて15人制代表でもワールドカップ出場を果たしたレメキ・ロマノ・ラヴァも、来年の東京での7人制復帰を志願している。15人制ではアウトサイドBK(WTB、FB)として力強いランを武器にしたレメキだが、7人制ではSOなどミッドフィールドで活躍。ボールを動かしながらも、チャンスでは自らスペースを切り裂くランは、東京オリンピックでも大きな武器になりそうだ。

 同じく7人制から15人制代表にピックアップされたのが徳永祥尭。FWの場合は7人制と15人制での運動量に大きな違いがあるため、ベスト体重や筋量が違ってくる。試合出場は果たせなかったが、ワールドカップ日本大会までは徳永も15人制で戦うためのサイズアップをしてきただけに、今後、どこまでスピードや動きの切れなどで7人制にフィットできるかが東京オリンピックへの課題になりそうだ。

 この3人以外で、ワールドカップ&オリンピックという2つの舞台に立てる可能性を秘めているのは松島幸太朗だ。ワルドカップ日本大会では5試合で5トライと圧倒的な決定力を示したスピードスターだが、サイズ(178センチ、88キロ)以上にフィジカル面での強さも持ち合わせていることは7人制でも大きな魅力。加えて、2014年の代表入りと、南アフリカ、オーストラリアなどのクラブでの国際経験が判断力の高さに繋がっている。

 これまでは、15人制代表での活動と海外挑戦を優先してきたため7人制参加は見送ってきた松島だが、ワールドカップ後には東京オリンピック挑戦にも前向きなコメントをしている。松島にとってもう1つのターゲットであるヨーロッパを中心とした海外挑戦の可否も、7人制合流の鍵を握ることになりそうだ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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