服部勇馬が大迫傑との5秒差を生んだ理由 五輪切符の裏でやり続けた「嫌なこと」
マラソングランドチャンピオンシップ(MGC・明治神宮外苑発着)が15日に行われ、30人が出場した男子は中村匠吾(富士通)が2時間11分28秒で1位となり、東京五輪代表に内定した。服部勇馬(トヨタ自動車)も2時間11分36秒の2位で内定。残り1枠は今後3つの対象大会で争われる。
妹手作りのお守りに写真忍ばせ力走
マラソングランドチャンピオンシップ(MGC・明治神宮外苑発着)が15日に行われ、30人が出場した男子は中村匠吾(富士通)が2時間11分28秒で1位となり、東京五輪代表に内定した。服部勇馬(トヨタ自動車)も2時間11分36秒の2位で内定。残り1枠は今後3つの対象大会で争われる。
服部は五輪へのチャンスを見逃さなかった。終盤までもつれ込んだ夏の決戦。3人に絞られた優勝争いから中村が抜け出す。日本記録保持者の大迫傑(NIKE)は脇腹を押さえ、さらに後ろを振り返った。その瞬間、30度近くまで上がった暑さのなか、追う服部の脳は冷静に働いた。
「2人が抜け出して、20メートル離れて登りは自信を持って登っていた。大迫さんが後ろを振り返ったので、もしかしたらチャンスがあると思っていた。順位が入れ替わったところは覚えていない。気づいたらゴール。無我夢中で走った」
残り300メートルで逆転。大迫とわずか5秒差の2位で、沿道に52万5000人もの観衆が集まった42.195キロを駆け抜けた。夏マラソン、気象条件の厳しいレースは初めて。スタートから設楽悠太(Honda)が大逃げを試みた。「戸惑いもありましたが、冷静に走れたと思う。他の選手が行けば、自分も行かなければいけないと思っていた。ただ、誰も行かず集団にいた方が力を使わないで済むと思った」。冷静に乗り切り、五輪を決めた。
箱根で輝いた元エースは、“専門外”の山で鍛え直した。東洋大2年時に30キロの学生記録(1時間28分52秒)を打ち立て、箱根駅伝では各校のエースが集う「花の2区」で2年連続区間賞。同年代を牽引してきた。しかし、MGCに向けたトレーニングは、慣れ親しんだ2区よりもダメージのある5区並みの山登りを何度も走破。苦手と向き合った。
平地と上りで使う筋肉を変え、上りは足の後ろ側の筋肉で地面を蹴るように改善した。この日、大迫を捉え、抜き去ったのは上り坂。重心の位置を意識し、力を残す走法が大一番でフル回転した。
「山対策としては菅平まで登ったり、箱根(駅伝)並みの登りをやっていた。40キロ走の次の日にもやっていた。(場所は)2区ではなく5区です。40キロ走の次の日に嫌なことをやり続けて、終盤を克服した。最後に諦めない気持ちに繋がったと思う」