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野球は300、ラグビーはわずか4… 28年前の“英雄”吉田義人が募らせるW杯後の危機感

9月20日に開幕するワールドカップ日本大会開幕まで、あと23日と迫った。サンケイスポーツで20年以上にわたり楕円球を追い続けたラグビー・ライター吉田宏氏が、日本ラグビーを牽引し続けてきたレジェンドたちの、日本代表、ワールドカップ成功への熱い思い、提言を綴る毎週水曜日の連載「楕円の軌跡―レジェンド・トーク2019」。

1991年大会で日本のW杯初勝利に大きく貢献した吉田義人氏【写真:Getty Images】
1991年大会で日本のW杯初勝利に大きく貢献した吉田義人氏【写真:Getty Images】

ラグビーW杯開幕まで23日、連載「楕円の軌跡―レジェンド・トーク2019」第12回は28年前のW杯初勝利に貢献した快足WTB吉田義人氏

 9月20日に開幕するワールドカップ日本大会開幕まで、あと23日と迫った。サンケイスポーツで20年以上にわたり楕円球を追い続けたラグビー・ライター吉田宏氏が、日本ラグビーを牽引し続けてきたレジェンドたちの、日本代表、ワールドカップ成功への熱い思い、提言を綴る毎週水曜日の連載「楕円の軌跡―レジェンド・トーク2019」。

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 第12回は、日本が誇る快足WTB吉田義人氏に話を聞いた。宿沢ジャパンではスコットランド撃破、2トライをマークした第2回ワールドカップでの日本の初勝利、そして世界選抜でのオールブラックスから奪った華麗なトライと、常に世界に挑み続けてきた孤高の11番は、8強入りに挑むジョセフ・ジャパンへの期待感、そして日本ラグビーの未来へのビジョンに思いを巡らせた。

 ◇ ◇ ◇

 ワールドカップ開幕が目前に近づく中で、週末は全国各地で大会盛り上げのためのイベント、講演と多忙な日々が続く。吉田義人氏がジャージーを脱いですでに15年が経つが、現役時代の激走は、多くのファン、ラグビー関係者の脳裏には、いまも色あせない鮮烈な記憶として残る。

 日本代表として1989年のスコットランド撃破、91年ワールドカップでの初勝利、そして世界選抜でのオールブラックスからの華麗なダイビングトライ。その足跡には、多くの感動、そして日本ラグビーの歴史が刻まれる。ワールドカップでの日本代表の初勝利を、自らの2トライで果たしてから28年。いまや大会8強入りを目標にかかげるジェイミー・ジャパンには、往年のトライゲッターも大きな期待を寄せている。

「エディー(・ジョーンズ前ヘッドコーチ=HC)さんが鍛えたベースに、ジョセフHCがラグビー先進国の文化を落とし込んでいますね。ラグビーボールをギフト(贈り物)として扱うようなプレーができてきた。それが、今年のPNC(パシフィック・ネーションズ・カップ)でようやく見えてきた」

 個人技や高い判断力が注目されるニュージーランド(NZ)代表だが、吉田氏が注目するのは“ボールを生かすこと”をすべてに優先する考え方だ。どのような状況でも、ボールを宝物のように手放さず、パスをつなぐときも放る側、受け取る側が細心の注意を怠らないのでミスをしない。世界の列強と戦ってきた男だから感じる、ラグビー最強国の強さの秘訣を2019年の日本代表にも感じ取る。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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