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オールブラックスを感嘆させた伝説の“空飛ぶWTB” 76歳・坂田好弘がW杯後に描く夢

大事なのはW杯後「ラグビーを紹介できる環境を整えたい」

 ファンと同時に競技人口拡大という重要なミッションにも、坂田氏は思いを馳せる。

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「どの大会の後でも、開催国では必ず子供たちのラグビー希望者が増えるというデータがあります。でも、競技人口を確実に増やすためには、ラグビーをやりたいという子供たちを逃がさないためには、ラグビーができる場所を、きちっと準備しないとだめです。それが我々協会の仕事なんです。

 口ではラグビー人口を増やせといってますが、どこでやればいいんですか? 野球場なら、どんなところにもあるから、やりたいを思えばすぐやれる。サッカーもそうです。でも、ラグビー場はどうですか? これは、すごく大事なことです。協会内では、最近になってようやくラグビーを場作らないとダメですねと言い始めているのが実情です」

 関西協会会長として着手しているのが、ワールドカップ出場各国の合宿地に立候補した自治体だ。当落は関係なく、この地域にラグビーができる環境作りを提案、協力していくことで、多くの自治体にラグビーへの登竜門を作る構想を巡らせている。

「ワールドカップが終わったときに、ラグビー協会には必ず多くの問い合わせがくる。そのときまでに、あなたの住む地域なら、ここにラグビースクールがある。ここにクラブチームがあると、紹介できる環境を整えたい。決して難しいことではありません」

“空飛ぶWTB”も、9月で77歳になる。鮮烈な現役時代を駆け抜け、世界殿堂など数々の栄誉は手に入れた。今思うのは、次代へのレガシーをいかに残すのか。その眼差しは、頂点に立つ桜の戦士から楕円球に手を触れようとしている未来の代表選手まで、すべての選手とファンに注がれている。

坂田 好弘(さかた・よしひろ)
1942年9月26日、大阪府出身。関西ラグビー協会会長。大阪体育大学名誉教授。京都・洛北高―同志社大―近鉄。在学中に日本代表入りしてWTBとして活躍。68年のニュージーランド遠征のオールブラックスジュニア戦で4トライをマークして歴史的勝利に貢献。“空飛ぶWTB”と絶賛され同年のNZ最優秀選手に選出された。翌年カンタベリー大に留学して、同州代表、NZU(大学選抜)でもプレー。2012年に日本人初の国際ラグビー殿堂入り。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)


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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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