旧国立に6万7000人を呼んだ男、“貴公子”本城和彦は今、テレビマンになっていた
大事なのは選手が戦術を共有し、組織として機能すること
「昨年11月のテストマッチをみても、順調に準備は進んでいるのかなという印象です。戦い方というのはチーム、指導者で様々なので、それはジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)がしっかりと決めて準備していけばいいこと。どれがいい、悪いということは、議論してもしようがないと思います。やりたいラグビーを、本当にコーチングスタッフと選手が共有して、そのレベルをどこまで上げていくのかということが重要です」
ラグビーでは、戦術をメンバー全員がしっかりと共有することを“セイムページ(同じページ)を見る”と表現する。本城氏が活躍した早大ラグビー部こそ、チームがいかにセイムページを見るかに、こだわり続けてきたチーム。周到に準備した戦術のもとに、いかに個々の選手が求められた役割を果たし、組織が機能するかを追求してきたのが、早大ラグビーの神髄だ。ラグビーのスタイルは異なっても、日本代表に求める根幹の部分は早大と変わらない。
本城氏が戦術以上に関心を持つのは、8強入りをかけて挑むプール戦4試合を、いかに戦っていくかという戦略だ。そこには、もう1つの日本代表の戦いぶりを重ね合わせている。7人制ラグビーが初めて五輪種目となった2016年リオデジャネイロ五輪で4位に輝いた7人制男子日本代表だ。
本城氏は7人制代表強化委員長として、瀬川智広ヘッドコーチをサポートし、リオデジャネイロでの躍進を後押しした。いまや別競技といえるほど選手に求められる技術、戦術も異なる15人制と7人制ラグビー。だが、世界最強を争う大会を戦い、勝ち抜くための術は共通するものがある。
「今回(15人制代表が)ベスト8入りするためにはアイルランド、スコットランドという強豪から最低1勝が必要と考えられています。簡単ではないけれど、勝てるか勝てないかと聞かれれば、僕は勝てると思っています。正直なところ、実力は相手が上でしょう。でも、コンディションとかゲームの流れを上手く掴めば、アイルランドに勝つことは不可能じゃない。今年の6か国対抗でのアイルランドの戦いぶりをみても、チャンスはスコットランドも含めてあると思う」