16年前の代表監督が残した“遺言”は活かされたのか 今、抱える日本ラグビーの問題点
負けてもメッセージを発信したい
昭和を匂わす風貌の同監督だが、令和のラグビー界でもこだわるものは変わらない。
「目指すのは、相手より早く走って、相手より早く動いて、相手より早く立ち上がって、激しくやる。今のコーラは(相手防御に)穴が開いてるのに、そこを突かないようなチームになっている。開いてたら、トライを取りにいけばいい。自分で判断して行けばいいんだよ、好きなことやっていいんだと。そういう練習方法に変えました。みんな経験を積んできたラグビープレーヤーですから、練習すりゃ上手くなれます。原石を磨いてなかっただけという感じがしますね」
昨季、トップリーグから降格したチームにも、求めるものはシンプルだ。「すべての試合で勝つことです。真剣勝負。勝つことにこだわってほしい。そして、負けてもメッセージを出すチームであってほしい。必死さとか、ディフェンスで頑張っているとか、『最後まで一生懸命やるな』という言葉がファンから返ってくるようなチームでありたい」
英語で表現すれば、まさに「Rolling Stone」。闘争心も反骨心も、潰えない。まるで、あの世界最高峰のロックバンドのような存在だ。
その“苔をむさない”名将は、日本代表を独自の視点で見つめる。
「個々の選手の能力が上がっているのは確かです。ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)、ラファエレ・ティモシー(神戸製鋼)の両CTBと、両サイドに足の速いWTBを置いていますけど、それは内側のFWに外国人が多くなっていることが影響している。フロントラインが抜かれなくなっていることが強みになっているんです。世界の強豪とも互角にやれるようになってきた。あとは、後方に蹴られたりしたときのボール処理をどうしていくかですね。ワールドカップで戦うアイルランド、スコットランドといった欧州勢は、キックが多いチームですから」