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ラグビーW杯で一世風靡したキックまで伝授 1日限定で五郎丸歩の“日本代表復帰”が実現したワケ

1日限定の“代表復帰”に充実の表情を浮かべる五郎丸さん【写真:吉田宏】
1日限定の“代表復帰”に充実の表情を浮かべる五郎丸さん【写真:吉田宏】

代名詞のキックも伝授「キックって専門職だけれど、日本にはコーチはあまり多くない」

 実際のキック練習では、上半身も含めた体の使い方や、どの筋肉を鍛えるか、より長く、正確なキックのために蹴った軸足を踏ん張らずに、前に駆け込むようにステップを踏む技術を直接指導。ゴールライン線上にボールをセットして、ゴールポストを狙ってキックする練習など、五郎丸さんが現役代表時代に続けていたメニューも伝授した。

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「キックって専門職だけれど、日本にはコーチはあまり多くない。なので自分が力になれればいいと思ってこの合宿に来ました。100人いれば100通りの蹴り方はあるが、自分は原理原則だけしか教えない。あとは自分の体に合ったフォームとか、蹴り方をマスターしてくださいというスタンスです。まだ伸びしろはめちゃくちゃありますよ」

オーバーエイジ選手を加えた「ジャパンXV」で優勝した4月の「パシフィックチャレンジ」(サモア)でもキッカーを務めたSH高木譲治(京都産業大学2年)は、「どうやったら飛ぶのか、どう蹴ったらどこに行くのかというキックのメカニズムを、一から教えてもらいました。自分のキックのルーティンは五郎丸さんとは違う。そこを改善すれば飛距離が伸びると分かったので、取り入れていきたい」と伝説の男の直接指導からの収穫を得た。

 チームはニュージーランド遠征で、同国学生代表(NZU)と2試合(25、30日)、クルセイダーズの若手チームとの合同練習などを行う。「選手層も含めて、7月へ向けたチームの底上げ」を遠征の位置づけに据える大久保HCは、主将を務めてきたFL太安善明(天理大2年)、トライゲッターのFB矢崎由高(早稲田大2年)を、コンディション調整のために遠征メンバーから外す方針を明かした。

「矢崎の場合は、いま日本代表に呼ばれてもすぐに活躍できるレベルにいる。もう一回リコンディショニングさせて、7月にいい状態でやれることを一番に考えてという結論です。太安の状態も良くなっているが連れていかないという方針で、7月には参加する前提で休ませます」

 NZ遠征でのゲームキャプテンは、指揮官が「サモア遠征でMVP級の活躍をしてくれた。特にボールを持っていない時の動きは、本当に献身的で素晴らしかった」と評価するユーティリティーBK竹之下仁吾(明治大)を軸に進めている。

 桜の予備軍が最終目標に据えるワールドラグビーU20トロフィーは、優勝チームのみが翌シーズンにトップ12か国によるU20チャンピオンシップに昇格する。わずか1日のセッションだったが、五郎丸さんは「関わったチームというのは、やはりすごく楽しみですし、日本のラグビー界を背負っていくメンバーです。特に2035年、38年のW杯とかは、あり得る選手たちが沢山いる。そういう意味では(自分の指導が)足しになればいいですね」と期待を込めた。

 日本中を熱狂させた2015年W杯が、結果的に五郎丸さんにとって桜のジャージーでの最後の雄姿となったが、プール戦敗退というピリオドを打たれたのがスコットランド代表だった。そして桜の予備軍にとっても、その宿敵とのU20トロフィー・プールA最終戦(現地時間7月12日)が、チャンピオンシップ昇格をかけた大一番。五郎丸臨時コーチへ朗報を届けるためにも、真夏のエディンバラへとチーム進化を加速する。

(吉田 宏 / Hiroshi Yoshida)



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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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