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ラグビーW杯で一世風靡したキックまで伝授 1日限定で五郎丸歩の“日本代表復帰”が実現したワケ

現役時代のゴールライン上からゴールポストを狙うメニューを伝授【写真:吉田宏】
現役時代のゴールライン上からゴールポストを狙うメニューを伝授【写真:吉田宏】

“五郎丸臨時コーチ”の理由、進化への貪欲さを持たせたい指揮官の狙い

 前日には、同じ静岡所属で、今季限りで現役を引退したばかりの弥富勇毅さん(SH)も臨時コーチとして招くなど、人脈をフル活用して強化に役立てる。昨秋の代表候補招聘から断続的に続く強化合宿の中で、未来の日本代表たちに今まで以上に進化への貪欲さを持たせたいという思いが、指揮官の胸中にはある。

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「いちばん重要なのはマインドセット。昨年12月から選手を見ていますが、本当に分かっているのか分かってないのかという印象だった。なんだかマスクをしているような表情(無表情)で話を聞いている。でも、こういう経験(五郎丸らのコーチング)をしていくうちに、選手から少しずつ今まで聞いたことがなかったワード(言葉)が出てきている。僕らはあくまでもヒントを与えているだけで、考えなきゃいけないのは選手なので、その手助けに少しでもなるかなと思っています」

 今回の五郎丸さんによるキック練習でも、コーチ陣が選んだキッカー候補以外にも、「五郎丸の話を聞きたいので自分からやりたいと」(大久保HC)志願して参加した選手も出てきた。

「そういう意味では、少しずつだけど欲が見えるかなと思います。代表になりたい、世界で戦いたいというね。2027年(次々回W杯)を現実的に捉え始めたという手応えはあります」

 五郎丸さん自身も、この日の朝に静岡から合宿地までの移動時間を使って、選手に落とし込むための資料を作成した。

「これからニュージーランド、スコットランドと海外挑戦があるが、自分のユース代表時代を振り返ると、遠征に行くだけで満足していた。仲間と一緒に行ける、代表という名前を背負えるという感じだった。でも、もうそういう時代ではなくなっているんです。ツアーを通じて自分が何を得たいのかとか、強化のピラミッドならジャパン(正代表)、ジャパンXV(準代表)があって、その下がU20だから、(代表)HCは自分たちを見ているよと。3年後(のW杯)はオーストラリアですけれど、彼らが行ける可能性も十二分にあると思いますね。そこは諦めずに、しっかりと世界でも結果を残してくださいと話しました」

 自らの積み上げてきた経験、世界と戦う心構えを後輩たちに語り掛けたのはわずか10分程度だったが、“世界の五郎丸”のメッセージが、これからニュージーランド、スコットランドでの過酷な勝負に挑む桜の蕾たちを、どこまで自己変容させられるかも注目だ。

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吉田 宏

サンケイスポーツ紙で1995年からラグビー担当となり、担当記者1人の時代も含めて20年以上に渡り365日欠かさずラグビー情報を掲載し続けた。1996年アトランタ五輪でのサッカー日本代表のブラジル撃破と2015年ラグビーW杯の南アフリカ戦勝利という、歴史に残る番狂わせ2試合を現場記者として取材。2019年4月から、フリーランスのラグビーライターとして取材を続けている。長い担当記者として培った人脈や情報網を生かし、向井昭吾、ジョン・カーワン、エディー・ジョーンズら歴代の日本代表指導者人事などをスクープ。ラグビーW杯は1999、2003、07、11、15、19、23年と7大会連続で取材。

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