井上尚弥、表彰式スピーチで故・穴口一輝を追悼 「常に危険と隣り合わせ」「伝えたいのはあの試合は心の中で輝き続けること」
ボクシングの2023年度年間優秀選手表彰式が19日、都内で行われ、6年連続7度目の最優秀選手賞(MVP)に輝いた世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)らが出席した。6年連続は歴代単独最多となり、年間最高試合(世界戦)とKO賞とともに3冠に。新鋭賞の那須川天心(帝拳)ら各受賞者が出席し、井上は壇上でスピーチした。
ボクシング年間表彰式
ボクシングの2023年度年間優秀選手表彰式が19日、都内で行われ、6年連続7度目の最優秀選手賞(MVP)に輝いた世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)らが出席した。6年連続は歴代単独最多となり、年間最高試合(世界戦)とKO賞とともに3冠に。新鋭賞の那須川天心(帝拳)ら各受賞者が出席し、井上は壇上でスピーチした。
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国内のプロボクシングを統括する日本ボクシングコミッション(JBC)、ジム会長らで構成される日本プロボクシング協会および東京運動記者クラブ・ボクシング分科会により、各賞が決定。この日は受賞した一部選手らが表彰され、多くの一般の出席者が集まった。
井上の6年連続MVPは、元世界フライ級王者・白井義男氏、元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高氏の5年連続を抜く単独トップに。通算7度目は自身の持つ最多記録を更新した。昨年は7月のスティーブン・フルトン戦で8回TKO勝ち。12月のマーロン・タパレス戦は10回KO勝ちし、バンタム級に続く世界2人目の2階級4団体統一の歴史的偉業を達成した。
フルトン戦が年間最高試合(世界戦)に選ばれ、KO賞(3年連続7度目)と合わせて3冠に輝いた。父・真吾氏もトレーナー賞を、WBA世界バンタム級王座を獲得した弟の拓真(大橋)も優秀選手賞を受賞。各選手の登壇時はそれぞれの試合入場曲が流れ、「Departure」とともに登場した井上は壇上のスピーチで堂々と想いを語った。
「まず初めにこの賞を6年連続7度目の受賞をいただいたこと、大橋会長を始め、スタッフの皆様、日頃から応援いただくファンの皆様に感謝を伝えたいと思います。本当にありがとうございました。昨年は7月と12月と、自分の納得のいく内容で勝つことができ、4団体統一をすることができました」
こう語ると、語気を強めながら強調した。
「僕ら選手は覚悟を持ってリングに上がっています。そして、ボクシングとは勇気や感動を与えるとともに、常に危険と隣り合わせのスポーツなんだと再認識しなければなりません。僕が今ここで皆さんにお伝えしたいことは、昨年12月26日の国内年間最高試合を受賞した穴口選手の試合。あの日見た試合はファンの皆さんの心の中で生き続け、輝き続けると思います」
井上がタパレスに勝利した昨年12月26日の興行では、セミファイナルで日本バンタム級王座に挑戦した穴口一輝選手(真正)が試合後に意識不明に。救急搬送された病院で開頭手術を受けたが、意識が戻ることなく2月2日に23歳で死去。この日は式典冒頭で黙とうが捧げられ、井上がスピーチを終えると、大きな拍手に包まれた。
井上は世界で最も権威のある米専門誌「ザ・リング」、米スポーツ専門局の「ESPN」と「CBS」、全米ボクシング記者協会でも最優秀選手に選出。まさに世界中が認める一年だった。次戦は5月に元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(米国)と東京ドームで対戦することが米メディアに報じられている。