BMXフラットランドが甲子園で存在感 世界大会「FLAT ARK」で日本勢が席巻
女子オープンは本村果鈴、男子オープンは唯一9点台を記録した片桐悠が優勝
2日目に行われた女子オープン決勝では、10歳から32歳までのライダー8人が火花を散らした。最年長32歳の石崎光紗季は初代フラットランド日本女王にして、UCIアーバン世界選手権で銀メダルを獲得した実績の持ち主。出産を経て競技復帰を果たしてからも安定感のあるライディングで観客を沸かせている。一方でBMXフラットランドも元気のいい10代が台頭。8人のうち6人が15歳以下で、スラリと長い手足を生かしたトリックを次々と決めてみせた。
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0.1点を競う接戦の末、FLAT ARKでは初代女王に輝いたのは13歳の本村果鈴だった。リアタイヤを使ったスピンや高いスキルが求められるトリックを連発。危なげないパフォーマンスを決めきった。2位には13歳の梶原沙璃耶、3位には14歳の清宗ゆいが入り、中学生トリオが表彰台を席巻。優勝賞金100万円を手にした本村は「世界大会出場で海外に行く時の旅費にしたいです」と将来を見据えると同時に、支えてくれた家族やコーチらに感謝を伝えた。
男子オープン決勝は予選を勝ち上がった8人に加え、シード出場となった内野と森崎弘也を加えた10人が参加。過去11度世界王者となった内野、X GAMES CHIBA 2023優勝の片桐悠、2023UCI世界選手権で優勝した荘司ゆうら、蒼々たる顔ぶれが頂点を争った。
決勝は60秒のソロラン1本と30秒のベストコンボ6本、計7本を行うオリジナルの競技フォーマット。上位3本の合計点で順位が決められるため、例えば最初の4本でトリックが決まらなくても、残り3本でハイスコアを叩き出せば一気に逆転が可能になる。
ソロランで最高得点8.4をマークしたのは片桐兄弟の兄・亮だった。ベストコンボでは多くの選手がハイスコアを狙うトリックに挑戦したため、なかなかメイクしきれず。最終的に10人のうち5人は2本しか成功できない乱戦となった。
そんな中、片桐兄弟の弟・悠がベストコンボ1本目で8.9のハイスコアをマーク。だが、同2本目と3本目を決められず、先にスコアを3つ揃えた磯谷匠と荘司の後を追う形となった。迎えた4本目、リアタイヤに乗って車体を立たせると、体を中に浮かせながら車体を横に一回転させる大技を決め、この日最高得点となる9.0を叩き出した。
後半に森崎が大技を連続で決める猛追を見せたが、片桐悠が逃げ切って優勝。2位は荘司、3位は森崎という結果になった。片桐悠は「目標としていた9点台を出して、優勝できて最高です。有名で憧れる甲子園で大会ができたことは本当にすごいこと。この場に立てることもすごくうれしい」と喜んだ。
男子オープン決勝の前には、エキシビションとしてスケートボード男子ストリートで東京五輪に出場した白井空良と、BMX男子パークで同じく東京五輪に出場した中村輪夢がフラットランドで対決。白井も起用にバイクを操りながら大技に挑んだが、バイクの扱いに一日の長がある中村が勝利を収め、観客を大いに沸かせた。
アーバンスポーツの中では次のオリンピック競技候補とも言われているBMXフラットランド。2日間で繰り広げられた熱いパフォーマンスの数々で、伝統ある甲子園球場が舞台となっても、その歴史に負けない存在感を示した。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)