宇野昌磨、取材で発した“判定疑問符発言”の全容 敬意は忘れず「優真君の演技に水を差したくない」
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦・NHK杯は25日、男子フリーが行われ、宇野昌磨(トヨタ自動車)は186.35点を記録。合計286.55点で2位となった。試合後、宇野は採点について言及。4本の4回転ジャンプがいずれも回転不足と判定されたことに対する胸の内を明かし、「試合に出る意味を揺るがされるような試合になった」と進退にも踏み込むような発言をしたことが話題になったが、取材中は終始、優勝した鍵山優真(オリエンタルバイオ)への敬意を念頭に置き、言葉を選びながら発言していた。囲み取材での主なやりとりを忠実に掲載する。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
GPシリーズ第6戦・NHK杯 宇野の4回転ジャンプ全てに回転不足の判定
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦・NHK杯は25日、男子フリーが行われ、宇野昌磨(トヨタ自動車)は186.35点を記録。合計286.55点で2位となった。試合後、宇野は採点について言及。4本の4回転ジャンプがいずれも回転不足と判定されたことに対する胸の内を明かし、「試合に出る意味を揺るがされるような試合になった」と進退にも踏み込むような発言をしたことが話題になったが、取材中は終始、優勝した鍵山優真(オリエンタルバイオ)への敬意を念頭に置き、言葉を選びながら発言していた。囲み取材での主なやりとりを忠実に掲載する。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
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SP首位の鍵山優真とは5.31点差。追いかける宇野はフリーで冒頭の4回転ループ、4回転フリップにそれぞれ着氷した。続く3回転アクセルは堪えるような着氷で単発に。後半も4回点が2回転トウループに抜けたが、直後にリカバリーするなど、表現力を含め、さすがの安定感を発揮した。
しかし、4本の4回転にはすべて「q」(4分の1回転不足)がつけられた。GOE(出来栄え点)は伸びず。フリーの得点は全体1位になったものの、合計では鍵山に僅か1.84点及ばず、優勝を逃した。
宇野は試合後、ミックスゾーンの囲み取材で採点について言及した。ただ、まず一番に伝えたかったのは「今日も昨日も優真君の演技が本当に素晴らしかったし、この試合で素晴らしい演技をした彼にたくさんの称賛を送ってほしい」という優勝した鍵山に対する敬意。
そして、判定についても「人がつけるものなので、文句も言いたくない」と尊重し、自らの力不足を認めた上で、終始言葉を選びながら落ち着いた口調で対応した。試合直後とあって「とりあえず、一夜明けたいと思います」とも話し、最後は明るい口調で報道陣の笑いも誘った。
以下、発言の前後の文脈も含め、囲み取材の主なやりとりを掲載する。
――この試合を振り返って。
「プログラム全体が中国杯からやってきた練習をしっかりと出せた試合。本当に自分が考えてやってきた練習を体現できた良い試合だった。本当に僕は優しい人たちに恵まれたなと、今日の試合を終わった後に思った。点数とか採点とか、本当に人それぞれだと思う。人がつけるものなので、文句も言いたくないですし、僕の力及ばずなんだろうなと。僕の限界を感じた試合でした」
――まだ整理もつかない部分もあるか。
「今日も昨日も優真君の演技が本当に素晴らしかったし、僕が何かを言うことで水を差したくない。優勝した、そして、たくさんの苦労を乗り越えて、この試合で素晴らしい演技をした彼にたくさんの称賛を送ってほしい」
――明日も取材の機会がある。整理できそうか。
「うーん、どうですかね……。とりあえず試合が終わって、ファイナルも決まった。次の試合に向けて自分が頑張れるのか頑張れないのか、それはわからないけど、今日までせっかく良いプログラムになっているので、ジャンプを改善するのではなく、プログラムの完成度として次の試合に向けても頑張れるのかな」
――これまでだったら加点で3点くらい取れているようなジャンプと同じ感覚だったか。
「どうでした? 結構きれいかなと思ったんですけど。あまり覚えてないですけど、厳しかったなというのは感じますし、採点のルールとかって人がつけるものなので人それぞれだし、回転不足をつけるのはどうなんだという気持ちでもないし、言えることは今日のジャンプ以上を練習でもできる気がしない。これが今後の基準になることも全然OKだし、ただこの基準になるなら、ここが僕の限界。これ以上、僕に先はないと思わされる試合だった。
でも(コーチの)ステファン(・ランビエール氏)も喜んでいたし、良い演技だったと思う。僕がこのインタビューで順位、点数は気にしないと言っているからこそ、こういう結果をもってして今日の演技が悪いものと捉えたくない。自分の気持ちを言うならば試合に出るという意味をちょっと揺るがされるような試合だった。僕の意見ですけど。点数が、ルールが、とかは言うつもりはない」
――キス・アンド・クライのモニターで得点詳細は確認できたのか。
「いや、分からなかったです。回転不足を取られたんだろうなと思ったけど、つなぎもステップも悪くなかった。結構、点数伸びるかなという思い描きだったので、相当回転不足を取られたんだろうなと。跳んだ4回転を全部取られたので、これは無理だなと。僕にはこれを改善することは……。失敗したジャンプで取られるのはアレですけど、自分にとっては厳しいものだった」
――自身が表現したいスケートと、ルールに乖離を感じるか。
「僕は出させてもらっている立場なので、僕が出たくなければ出なければいいじゃんというのがみんなの極論だと思う。ルールとかは僕たちが決めていることじゃないので、どんな風に方向性をしたいのかは興味で聞いてみたい気はする」
――最後に笑顔をやっと見せた。リカバリーをやった照れ笑いか、納得したのか。
「結構、納得していましたね。本当に練習通り、6分間練習のジャンプもそのまま出せた。4回転トウを1個失敗したのは回転を気にして回そうとした結果ではあったけど、ちゃんとその後もリカバリーする練習をしていて、それも出たし。ステファンも凄い喜んでいて、僕としてもうれしい気持ちでした。本当に練習通りやったので、良い演技だったなって。良い練習が中国杯から積めて、しっかりとそれが出せて良いものだったなと思える。なるべく結果を気にせず、持って帰って、今日は良い演技だと言い聞かせて、一夜明けてまだ何か思っていたら、何か喋りたいと思います(笑)」
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)