「なぜ走るのか」 大迫傑がたった1人で高地合宿、MGCまでに気づけた「想いを表現するのが好き」
自分と対話して見えた答え「それが非常に良かったことだなと思います」
会見で全選手が書く目標ボードには「100%出し切る」、ここを見てほしいというポイントには「レース運び」と記した。7か月ぶりのマラソン。過酷な練習期間に自問自答を繰り返した結果、気づいたものは単純明快だった。
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「自分がなぜ走るのか。誰にとってもきつい競技だとは思います。それを3か月間一人の中で対話してきた結果、『自分が誰かと競い合うこと』『自分の思っていることを走りで表現すること』が自分自身も好きなんだなって気づけた。それが非常に良かったことだなと思います。それがないと本当にただ辛いことになってしまう。それが明後日(15日)の勝負に生きるかどうかわからないですけど、一つの過程として、自分のモチベーションとしてそう思えたのは良かった」
東京マラソン終了後、MGCから逆転して体づくりをするのはいつも通り。「流れの中で違和感なく2つのマラソンは繋げられた。心身ともにベストの状態」と、やるべきことはやり尽くした。
前回2019年大会は3位で東京五輪の即時内定はならず。翌年3月の東京マラソンで当時の日本記録を叩き出し、3枠目に滑り込むと五輪6位入賞を果たした。今回は約2倍となる61人がエントリー(13日時点)。2時間04分56秒の日本記録保持者・鈴木健吾(富士通)、東京マラソンで日本人トップ7位の山下一貴(三菱重工)、其田健也(JR東日本)ら有力選手が出場するが、レース展開は「特にないというか、その時のケースバイケースで効率よく動けたら」と話すにとどめた。
「前回と同じぐらいレース展開がわからない。気持ち的な余裕を持って臨みたいなとは思ってはいます。ペースメーカーがいないので、誰も予想がつかないと思う。前回もそうでしたが、より今回は柔軟に対応できるような気持ちでいければと思います」
2位以内を狙うのか。または優勝にこだわるのか。
「どうですかね。そこはずっと明言を避けているというか、今までずっと自分自身にプレッシャーをかけてきましたし、あえてこの場で言うのは僕らしくもない。結果的にベストを尽くせればいい。その結果、優勝できたらいいと思います。(パリ五輪の位置づけを)決めるのは明後日だと思う。まずはしっかりと目の前のレースに集中をしていく。陸上競技はタイム、順位が全て。どこを見てほしいというのはなく、自分はしっかりといつも通り上位に絡むいい走りをするだけ」
過度な重圧を抱えている様子はなく、会見の合間には笑顔も見られた。“一発勝負”となる2枠の熾烈な争い。第一人者は走りで想いを表現する。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)