日本代表、W杯躍進の条件は? 松井大輔が説く心構えと「進化系ドリブラー」への期待
ドイツ戦へ「コンディションを100%の状態に持っていくこと」が重要
反対にカナダ戦を回避した選手を見ていくと、切り札的な役割が期待される三笘薫のコンディションは気になるところ。以前からドリブラーとしての才能を高く評価していた松井は、プレミアリーグでも威力を発揮している三笘の突破能力をどのように分析しているのか。
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「これまでのドリブラーは、どんなに優れた選手でも相手を抜く確率が50%程度だったと思います。でも彼は進化系ドリブラーなので75%から80%くらいの確率で突破できる。それだけ完成度が高く、コンディションさえ整っていればという条件付きではありますが、強豪国の選手でもなかなか止められない。ドイツ戦やスペイン戦でも違いを作れる可能性はとても高いと僕は信じています」
日本代表にとっての本番は、あくまでも23日のドイツ戦から始まるW杯の戦いだ。良い形で初戦を迎えるための準備の一環としてカナダ戦を活用した意味合いが強く、それは起用法にも表れているという。
「カナダ戦では、起用したかった選手と起用できなかった選手がいました。そして、あえて起用しなかった選手もいました。それが前線の伊東純也選手や前田大然選手といった特徴を持つ選手です。45分間のプレーにとどまった酒井宏樹選手や久保建英選手もドイツ戦の先発候補ですし、吉田麻也選手や長友佑都選手はさらに出場時間を制限しました。だからスタメンはカナダ戦から半数以上が入れ替わるのではないでしょうか。すべては本番をフレッシュな状態でプレーさせるためのマネジメントだったと思います」
4年に1度しかない本番まで、残された時間はわずか。最後に、松井は歴史を作ってきた先人として後輩たちにエールを送った。
「とにかく大切にしてほしいのは、ドイツ戦に向けてコンディションを100%の状態に持っていくことです。チーム全体を考え過ぎるのではなく、個人のパフォーマンスを上げる1点にフォーカスしてほしい。通常とは異なる時期に開催されるW杯で、個々の状態にバラつきがあるのは間違いない。その時に重要なのは、1人ひとりが最高の状態でピッチに立つことなんです」
初出場となった1998年のフランス大会から7大会連続でW杯に臨む日本。未到達の地であるベスト8以上を目指す戦いが、23日夜、ついに幕を開ける。
(藤井雅彦 / Masahiko Fujii)