「私がウィニングパットを打つんや~」 新ヒロイン19歳川崎春花が経験した純朴V争い
初優勝後から重圧、行きの車で嘔吐も…
グリーン右ラフからピンまで34ヤード。58度ウェッジでフワリと上げたボールは、フックラインの転がりでピン手前50センチについた。「2日目にあの位置から打ってオーバーしていたので」。その失敗を生かし、勝負どころでリードを奪う大きな一打を放った。
9月に日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯を大会最年少で制し、メジャー覇者にもなった。同時に3年シードを獲得したが、翌週は予選落ち。「まぐれで優勝したと思われたくない」と自分を追い込んだが、2週後も予選落ちした。第2日の朝には、コースに向かう車の中で嘔吐もしたという。
「プレシャーを自分にかけてしまったのだと思います」
その後、初優勝前はツアー出場もままならず、予選落ちしていた自分を思い出し、もう一度、「自分の立ち位置」を考えたという。「今季中にもう一度優勝」を新たな目標とし、自分の「振り切るスイング」をコーチと一緒に取り戻した。今大会は第2日から「ボールに近づいて、手元を上げるパッティング」で、多くのバーディーパットを決めることができていた。
19歳175日で2勝は、畑岡奈紗(18歳254日)、宮里藍(18歳262日)、笹生優花(19歳71日)に続く4番目のスピード記録。先輩たち3人はその後、米女子ツアーを主戦場にしたが、川崎は「何も考えてないですけど……そうなればいいですね」と笑ってみせた。
小祝さくらにも似たゆっくりとした口調ながら、ゴルフになると強さを見せる19歳。今季の出場17戦で獲得した賞金額は7816万8000円で2勝に限ると7200万円だが、本人は「ビックリしています」と肩をすくめた。今後の目標を問われると、「強いゴルファーであり続けることです」と言い切った。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)