10年ぶりV逃した36歳藤田さいきの泣き笑い「主人と全英へ…あ、旅行じゃないか(笑)」
全英女子OP出場へ「あれ、パスポート大丈夫かな…」
だが、藤田はここからギアを入れた。左に池が広がる16番パー3では、グリーン左5ヤードに切られたピンを果敢に狙った。17番パー5では第3打をピン下4メートルにつけ、スライスラインのバーディーパットを沈めた。今度は右下に右拳を出した。
再び灯った優勝への希望。藤田は18番パー4で勝負を決めるべく、残り120ヤードからの第3打をグリーン左4ヤードに切られたピンに向けて放った。その弾道を見て、観客は「あ~、池に」と声を上げた。だが、ボールは石垣で大きく跳ねてグリーン右側のバンカーへと向かった。最後に残された幸運だった。藤田は「ここからパーを拾う」と気持ちを込めた。だが、結果はボギー。目の前にあった勝利をつかむことはできなかった。
「完璧な(パー)パットでした。でも、(左に)抜けてしまいました……」
ひとしきり悔しさを口にした後、藤田は自ら「全英には行きます」と切り出した。実は前夜、夫に「優勝して全英に行こう」と言われていたという。
「優勝で全英ではなかったですけど、全英には行きます。この歳でこんな立派な資格で挑戦できるなんて、ビックリです」
2005年からプロ生活を送る藤田だが、海外メジャー戦には縁がなかった。
「(海外)メジャー、初めてです。いや、うれしいですね。あれ、パスポート大丈夫かな……。何年か前に更新したはずだけど、確認しなきゃ。まあ、(11年11月22日に結婚した)主人と新婚旅行に行けていないので、行ってきま~す。主人は海外初めてなんです。あっ、旅行じゃないか(笑)」
優勝は逃したが、今季3度目の2位。36歳にして強さを増す藤田は、「こういう緊張の中でも戦えるゴルフはできました。まだ6月ですし、西郷(真央)さんのように何度も2位になって勝てればいいと思います」と言った。明るくてタフなベテラン。その存在感に揺るぎはない。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)