井上尚弥「ドネアと戦えて誇り」 衝撃ダウンに「夢じゃないかと思うほど上手くいきすぎ」
ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回1分24秒TKO勝ちし、日本人初の3団体王座統一に成功した。WBAは7度目(正規王座を含む)、IBFは5度目の防衛に成功し、自身の持つ日本人の世界戦連勝記録を「18」に更新。日本人に馴染み深いWBCのバンタム級王座を奪い、4団体統一の偉業に王手をかけた。戦績は29歳の井上が23勝、39歳のドネアが42勝7敗。
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ボクシングのWBAスーパー&IBF世界バンタム級統一王者・井上尚弥(大橋)が7日、さいたまスーパーアリーナでWBC同級王者ノニト・ドネア(フィリピン)に2回1分24秒TKO勝ちし、日本人初の3団体王座統一に成功した。WBAは7度目(正規王座を含む)、IBFは5度目の防衛に成功し、自身の持つ日本人の世界戦連勝記録を「18」に更新。日本人に馴染み深いWBCのバンタム級王座を奪い、4団体統一の偉業に王手をかけた。戦績は29歳の井上が23勝、39歳のドネアが42勝7敗。
初回は井上が手を出すと、ドネアが右ストレートや左フックを返す展開。息詰まる攻防の中、井上の右ストレートが左テンプルを貫いた。ドネアはたまらずダウン。立ち上がったが、再開直後に初回が終了した。2回も井上が左フックを浴びせてぐらつかせ、ロープ際で猛攻。反撃に出るドネアに左ボディーを入れ、さらにダメージを与えた。連打を浴びせ、最後は猛ラッシュ。左フックで2度目のダウンを奪い、ライバルを大の字に倒した。
衝撃の展開に観衆は立ち上がって大熱狂。井上はコーナーに上がって歓声に応え、ドネアと抱擁を交わした。会場からはドネアコールも沸き上がり、敗者を称えた。
井上の会見の主な一問一答は以下の通り。
――今の心境は。
「2年7か月ぶりのドネアとの再戦。今日こうして最高の結果を残せたことに満足しています。最高の日になりました。ありがとうございました」
――1ラウンドは警戒していた。3分間の最後に立て直して右ストレートを入れた。
「まずは1ラウンド目は絶対に取らないといけないと思っていた。左フックを貰った瞬間、それ以上のインパクトを残さないとこのラウンドを取れないと思った。最後の10秒でエンジンをかけて、それで当たった。2ラウンド目は父にも『行かない』と伝えた。1ラウンドの終了間際のダウンでどれだけダメージが残っているかわからない。父に『行かない』と伝えたけど、性格上は自分を抑えるために言った。けど、行きましたね(笑)」
――結果的に2回に攻めた理由は。
「ドネアの脚がふらついてダメージが来ていたので行きました。タラレバですが、2年7か月前もこういう試合を描いていた。それが2回の左フックで崩れた。今回も気が抜けなくてピリピリした時間でした」
――試合前から「ドラマにしない」と自分にプレッシャーをかけた。なぜ?
「トレーニング、試合への向上心をつくりたい。こういう発言をしたからにはやらなきゃいけないので。それでも不安な面があるし、それに打ち勝ってやるからこそ今日の試合の結果がある」
――初回を取りたいと思った理由は。
「気持ち的に優位に進めたかった。しっかりと取ろうと思って臨みました。左フックは右目辺りに受けました。効いたわけではないけど、目が覚めたというか、引き締まりました。2年7か月前の激闘も予想はしていましたし、いろんなプランをイメージしながら臨んでいました」
――相手の出方については。
「出方に関しては想像していた中の一つ。プレスをかけてきて、自分に手を出させてのカウンター。思い描いた通りのものでもありました。戸惑うことはなかったですけど、最初の左フックをもらったことによって、気を引き締めて戦うことができました」
――ドネアに対して前回と違うと感じた部分は。
「体重の戻し方を感じた。リングに上がった瞬間、戻り切っていないなという印象を受けた。スピード重視の作戦で来るのかなと。」
――井上選手は左フックを狙っていた。倒すこだわりは。
「こだわりはないです。左フックも自分の得意としているパンチなので。正直、開始早々にもらったので当て返してやろうとは思いました(笑)」
――前回試合後に「楽しかった」と。今回は楽しかったか。
「また違った楽しさがある。ダウンを取った瞬間、夢じゃないかと思うほど上手く行き過ぎていました。セコンドの声も聞こえていたし、(会場から)気を付けろと言われているのが聞こえたし、気を付けないといけないし、自分をセーブするために慎重に進めていました。がむしゃらに行くこともなく、乱れることもなく、出すパンチ一つひとつ覚えているくらい冷静に進めていた。その面がよかったと思う」
――ドネアはどんな存在に。
「WBSSの決勝で戦えて、この3団体統一をかけて戦えて、ドネアだからこそここまでできた。学生時代に憧れているチャンピオンだったのでこういう試合を生んだ。自分にとってはこの先の4団体、もしくは階級を上げる中でドネアと戦えて誇りに思う」
――バンタムは年内を区切りにする理由は。
「バンタム級は適正階級ではありますけど、さらに上に挑戦したい気持ちもある。バトラー戦が実現しなければ、違う挑戦者とやらないといけない。それはどうなんですかね。場合にもよりますけど、いい選択をしたい。まだ先は何年もあるので、またゆっくりしてから会長、父と相談して決めたい」
――次の目標は。
「バンタム級の4団体統一はここまで来たので、リーチが懸かったので。まずはバンタム級での4団体統一を中心に進めていきたい」
(THE ANSWER編集部)