「史上最強」の昇格組で躍動 バスケB2の昨季MVP、勝負どころで光った1on1の強さ
バスケットボール・Bリーグの歴史を振り返ると、B2からB1への昇格は今季の群馬クレインサンダーズと茨城ロボッツを含めて合計9チームある。昇格1季目の勝率は2020-21シーズンの信州ブレイブウォリアーズが記録した.370(20勝54敗)が最高だった。
群馬が横浜に88-84で勝利、昇格1年目でB1歴代最多の21勝目
バスケットボール・Bリーグの歴史を振り返ると、B2からB1への昇格は今季の群馬クレインサンダーズと茨城ロボッツを含めて合計9チームある。昇格1季目の勝率は2020-21シーズンの信州ブレイブウォリアーズが記録した.370(20勝34敗)が最高だった。
それだけ2つのカテゴリーにはレベル差があり、昇格チームはプレーの強度や戦術のギャップに苦しむ。ただし群馬は“史上最強の昇格チーム”としてリーグの歴史に名を刻みそうだ。4月24日の横浜ビー・コルセアーズ戦を88-84で勝利して、昇格チーム史上最多の21勝に到達。勝率は.429で、4割の壁をクリアしている。
横浜戦を終えたトーマス・ウィスマンヘッドコーチ(HC)はこう述べていた。
「昇格初年度の21勝は評価されるべき記録だし、これからも勝利を積み上げていきたい。チャンピオンシップ出場の可能性は消えてしまったけれど、まだ6試合残っているのでプライドを見せて、どう終わるか、何を見せられるかにフォーカスしたい」
もっとも今季の歩みが順調だったわけではない。昨季の群馬はB2史上最高勝率で昇格を果たしたものの、平岡富士貴HCとの契約更新がならず、今季はコーチ陣が総入れ替えになった。これは群馬に限らない現象だが、コロナ陽性者が出たことによる活動停止や、相次ぐ選手の怪我にも見舞われた。横浜戦は217センチの大黒柱オンドレイ・バルヴィンが体調不良で欠場していた。
24日の試合は一進一退の展開のなかで、トレイ・ジョーンズが第4クォーターに16得点の大活躍を見せて勝ち切った。しかし、この起用は指揮官にとって苦渋の決断だった。
「本当はプレーする予定でなかったけれど、(どうしても)必要だった。トレイもガッツを見せて、痛みのなかで素晴らしいプレーをしてくれた。彼は腰の難しい症状があって、時折ギプスもつけている状況です。本当は25分以下、20分くらいで考えていたけれど、それ以上になってしまった。2日連続の試合は彼にとって厳しいものだったけれど、チーム状況を見て、トレイはそれに応えてやってくれた」
ジョーンズは199センチのウイングプレーヤーだが、勝負どころではポイントガードとしてプレーする。1on1の能力やシュート力は傑出していて、昨季はB2のMVPにも輝いたスコアラーだ。24日の出場は25分44秒で、27得点7アシストを記録している。無理をすれば症状が悪化する可能性は理解しつつ、本人と指揮官はリスクを取った。
ジョーンズ本人は「出場時間と症状のバランス」についてこう振り返る。
「本当にそこが難しいところです。自分はずっと戦いたい人間だし、チームに自分が持っているすべてを注ぎたいのは変わらないけれど、今シーズンは自分と身体と向き合って判断しながらやってきていました」