日本の女子ゴルフ界が遅れている託児所問題 「出産に躊躇している選手もいる」現実【THE ANSWER Best of 2021】
なぜ、国内ツアーでは託児所設置が進まないのか
では、なぜ国内ツアーでは進まないのか。一つは「メリットが少ない」ことがある。現状、出産後にプレーしているレギュラーツアーの選手は数人。日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の「産休制度」を利用して出産、育児に励んでいる最中の選手も数えるほどしかいない。もし、託児所があっても利用者が少なければ“赤字”になってしまう。企業も、協会もボランティアではできない。
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実際、ママゴルファーが比較的多い下部ツアーでは、テーマパーク企業のスポンサーで託児所が設置された大会もあった。しかし、20代前半の選手が多いレギュラーツアーでは現実味に欠ける。
少しずつ変化しているとはいえ、「出産=引退」という価値観を持つ選手も多い。北田も20代の頃は「(現役と育児を)両立することすら考えられなかった」と振り返る。だからこそ未来を想像し、願いを込めた。
「会場に託児所があれば、若い時に出産しようと思う選手も増えるはず。でも、今は躊躇している選手もいると思います。だから、『ママゴルファーが増えてきたから作りましょう』ではなく、『託児所があるから安心してね』というサポート体制にしてもらえると、いろいろな選択肢が生まれる。
やはり女性には何にでもリミットがあります。女性の組織ですから、女性目線で考えていくことも必要になってくるのではないでしょうか。今すぐは無理かもしれない。少し長い目で見て5年後、もしかしたら10年後になるかもしれない。それでも、『今』ではなく『これから』を考えて、準備だけでもしておくことが凄く大事だと思います」
理想論かもしれないが、理想を掲げなければ前に進まない。