【平昌 夢の跡】羽生結弦が伝説になった日 世界が「270秒の奇跡」を目撃した
平昌五輪は25日に17日間の熱戦を幕を閉じた。日本は史上最多13個のメダルを獲得し、数々の名シーンが感動を呼んだ。「平昌 夢の跡」と題し、3日間にわたり、話題を呼んだ名場面を振り返る連載を掲載。第1回はフィギュアスケート男子シングルで66年ぶりの連覇を果たした羽生結弦(ANA)だ。
「名場面総集編」―66年ぶり連覇を達成、五輪史に伝説を刻んだ羽生結弦
平昌五輪は25日に17日間の熱戦を幕を閉じた。日本は史上最多13個のメダルを獲得し、数々の名シーンが感動を呼んだ。「平昌 夢の跡」と題し、3日間にわたり、話題を呼んだ名場面を振り返る連載を掲載。第1回はフィギュアスケート男子シングルで66年ぶりの連覇を果たした羽生結弦(ANA)だ。
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2018年、2月17日。羽生結弦は伝説になった。男子フリー。五輪シーズンに再演を決断した映画「陰陽師」の「SEIMEI」に乗せ、魂の滑りを見せた。大歓声に送られ、リンクに立った羽生。冒頭の4回転サルコーを決めると、次々とジャンプを成功させた。後半。3回転ループでバランスを崩した。しかし、羽生は必死に耐えた。支えた足は、痛めていたはずの右足だった。
すべてを注いだ4分半。滑り終えると、リンクに何度も何度も雄叫びを上げ、感情を爆発させた。思いを抑えることができなかった。そして、右足に感謝を込め、そっと撫でた。合計317.85点。最終演技者の宇野昌磨(トヨタ自動車)が2位に入り、金メダルが確定すると、羽生の目から涙がこぼれ落ちた。真っ先に口から出たのは「ありがとうございます」の言葉だった。
マンガ以上の奇跡のストーリーだった。昨年11月のGPシリーズNHK杯前日練習でジャンプに着氷した際に転倒。右足首の靱帯を痛め、戦列を離れた。故障直後には世界のスケーターにエールの輪が広がり、SNS上で続々と声が上がった。以来、公の場から姿を消し、リハビリに専念。GPファイナル、全日本選手権を回避し、今大会も団体戦も出場せず、すべてを連覇に捧げてきた。