水谷隼は「卓球界の財産」 ベンチで光らせたNo.1の経験値「彼は知り尽くしている」
監督代行より選手と気心知れた存在「卓球界を知り尽くしている」
第1、2Gを奪って迎えた第3G。10-7から1点を返され、タイムアウトを取った。及川はミドルに強打してからフォアサイドに攻めるのがここまでの得点パターン。「そこをもう一度攻める」と先輩から助言をもらった23歳は、最後の1点をもぎ取り、勝利を決めた。レジェンドの存在の大きさに舌を巻く。
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「少し流れが悪くて攻め切れていない部分があった。最後の1本が欲しいところ。迷っていた時にタイムアウトをとってくれた。気持ちの整理ができたので、いいタイムアウトだったと思います。五輪で金メダルを獲られた水谷さんは皆さんもご存知の通りレジェンドなので、そういう人がベンチにいるのが心強い。プレッシャーもなく思い切り戦えたと思います」
チームは監督不在のまま開幕を迎えた。この日はナショナルチームでコーチ経験がある渡辺隆司氏が監督代行としてベンチ入りしたが、3週間前に合流したばかり。長く在籍している水谷は選手たちと気心が知れた仲。「やっぱり水谷選手は卓球界の財産。自分の隣に座ってどんどんアドバイスをくれた。卓球界、特に男子を知り尽くしている水谷君に協力してもらって、今回はそれが凄くよかった」と感謝した。
この日は試合前の練習に参加し、出場選手のパートナーを務めた水谷。限定的な出場が見込まれている中、選手紹介では「ゴールドメダリスト」とアナウンスされて一番最初に入場。889人が集まった観客席から大きな拍手が送られた。五輪の活躍からTリーグに特別表彰を受けたセレモニーでは、後輩たちの活躍を願い、会場を盛り上げていた。
「僕は五輪が終わって1か月が経って、今はなかなか卓球の練習ができてないんですけど、木下マイスター東京と琉球アスティーダの選手が本当に素晴らしい試合を見せてくれると思うので、両チームの応援をよろしくお願いします」
試合に出なくても役目を果たした32歳。外から絶妙に声をかけ、現役No.1の経験値が光る試合となった。次戦は18日に岡山リベッツと対戦(大分県杵築市文化体育館)。先駆者から吸収し、成長していく選手たちに注目だ。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)